英国政府、繊維産業向け廃棄物削減計画を発表

(英国)

欧州ロシアCIS課

2021年03月30日

英国の環境・食糧・農村地域省(DEFRA)は3月18日、ファストファッションに関する対策強化や、繊維廃棄物に関する生産者責任などを含む、廃棄物削減計画外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

これらの計画は、政府や産業が7つの主要セクター(注)に関し、廃棄物を最小限にし、資源効率的な経済に向けて協力するための行動計画を定めた「イングランド廃棄物防止プログラム(Waste Prevention Programme for England)」の一環。

同省は、関係者に対し、デザインやラベルの改善を促す手段を用いながら、企業にリサイクル費用を負担させる拡大生産者責任(EPR)の導入など、繊維産業向けの方策について2022年末までに意見公募を実施するとした。

同省によれば、ファッション産業は世界の炭素排出量の4%を占めるとされている。また、繊維製品の購入・廃棄量はともに増加しており、衣服の購入量は2012年から2016年にかけて2割増となっている。

こうした流れに対し、繊維産業向けの生産者責任スキームは、製品の再利用、より効果的な回集、リサイクルにつながり、サステナブルな繊維の使用やレンタルなどの持続可能なビジネスモデルにもつながると期待を寄せた。

一方、同省は発表の中で、繊維産業が進歩を遂げていることにも触れた。持続可能な資源利用を推進する英国のNPOであるWRAPのとりまとめにより実現した同産業界の自主協定(voluntary agreement)による成果を評価し、今般、新たに同団体が発表した、今後10年間を見据えた自主協定「テキスタイル2030外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に基づく繊維産業の野心的な行動を促すとした。

これに加え、政府は衣類の耐久性やリサイクル材の含有量の最低基準の導入や、ラベル・消費者向け情報の改善を行うことを検討している。また、調査研究への資金拠出を行う政府機関UKリサーチ・アンド・イノベーション(UKRI)は、3,000万ポンド(約45億円、1ポンド=約150円)を投じ、英国内への循環的なサプライチェーン構築を図るための5つの研究施設を設立するとしており、そのうち1つは繊維産業に特化した研究を行う。

(注)建設、繊維、家具、電気・電子機器、道路車両、包装・プラスチック・使い捨て製品、食品。

(山田恭之)

(英国)

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