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ドイツ連邦政府がサプライチェーン法案を閣議決定

(ドイツ)

ベルリン発

2021年03月10日

ドイツ連邦政府は3月3日、一定規模以上の企業に、自社および自らの取引相手が人権侵害をしていないかなどの確認を行う「人権デュー・デリジェンス」の実施を求める「サプライチェーン法案」を閣議決定した。

この法案は、ドイツを本拠とする従業員が一定規模以上(2023年施行時は3,000人以上、2024年1月からは1,000人以上)の企業に対して、国内外の自らのサプライチェーンにおいて人権および環境に関するデュー・デリジェンスの適切な実施を求めている。法案が対象とする「人権」と「環境」のリスクは、児童労働、強制労働、奴隷的労働環境、労働安全義務の不履行、労働基本権の制限、差別や最低賃金未満での搾取、水質汚濁や大気汚染などの環境汚染などだ。

具体的には、人権デュー・デリジェンスでは、以下の実施が求められる。

  1. リスク管理体制の確立(社内の監督責任の明確化、経営者への年1回以上の定期報告など)
  2. 定期的なリスク分析の実施(自社と直接取引先のリスクの洗い出し・優先順位付けの年1回以上の実施、迂回的な取引が行われた場合は間接取引先を直接取引先とみなす)
  3. 「人権戦略」に関する方針書の採択(義務履行のための手順、上記2.で特定した優先的リスクへの対処方針)
  4. 自社と直接取引先における予防措置の実施(契約上の担保、直接取引先の訓練と順守状況のチェック)
  5. 人権の侵害または恐れの是正措置(直接取引先の場合は是正措置計画の策定・実施、取引関係の見直し)
  6. 苦情処理手続きの確立(内部の告発・外部からの通報手続きと告発者保護、苦情処理に係る情報開示)
  7. 間接取引先による人権・環境の侵害リスクへの対処(苦情処理手続きの確立、苦情申し立てがあった場合のデュー・デリジェンス実施)

故意または過失により、これらの義務に違反した場合、過料(最大80万ユーロ、ただし平均年間売上高が4億ユーロ超の法人・団体の場合は最大で平均年間売上高の2%)や公共調達への入札禁止といった行政処分の対象になりうる。

ドイツ自動車産業連合会(VDA)のヒルデガルド・ミュラー会長は、この閣議決定を受けて、法律違反への一定の制裁は必要だが、制裁は目的に応じて比例的であるべきで、過失の場合でも処罰の対象とすることや公共調達から排除することが(不相応に重い)ペナルティーとなりうることを問題視したほか、欧州で現在検討されている同様の規制との整合性の確保が必要なことを指摘した。

(田中将吾)

(ドイツ)

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