ドイツ企業、相次いで南イタリアでの再生可能エネルギー事業を発表

(イタリア、ドイツ)

欧州ロシアCIS課

2021年03月30日

ドイツ系企業による、イタリアの南部での再生可能エネルギー発電建設プロジェクトが相次いで発表されている。ドイツの再生可能エネルギー発電運営企業のブルーエレファントエナジーは3月25日、イタリアの同分野における設計・建設企業のグリーン・フューチャーと、シチリア州における6つの太陽光発電施設建設を含む合同事業に合意したと発表した。発電施設のピーク発電容量は119メガワット(MW)となる見込みで、7万8,000世帯相当分の発電量になる。2022年終わりまでに建設が開始される予定だ。

ドイツの太陽光発電施設建設のSTEAGソーラーエナジー・ソリューションズは3月9日に、イタリア南部のプッリャ州に3つのソーラーパーク建設を発表。ピーク発電容量は合わせて244MW。オリーブ畑に太陽光パネルを設置することにより、土地を有効活用し、オリーブの栽培とクリーンエネルギー生成を両立させる。建設開始は2021年の終わりを予定している。同社によると、イタリア政府はこのような発電プロジェクトに好意的で、農地での発電プロジェクトの承認にかかる期間が今後短縮されるなど、より手厚い支援を受けることが可能になるとの期待感を示している。なお、同社は2月16日に、シチリア州での太陽光発電事業の250MW規模の拡大を発表していた。

また、風力発電機器大手のシーメンスガメサ・リニューアブルエナジー(本社:スペイン・バスク州、主要株主:シーメンス・エナジー)は3月25日、イタリア南部での4つの風力発電施設の建設プロジェクトを受注したと発表した。4つの発電施設のうち、3つはプッリャ州、1つはカンパーニャ州に設置される。発電容量は合わせて97MWで8万世帯分相当の電力を供給可能としている。建設開始は2022年半ばを予定。また、なお、同社はこれまでに、イタリアに2ギガワット(GW)を超える風力発電施設を導入済みだという。また、風力タービン製造のノルデックスは3月16日に、イタリア南部のバジリカータ州での35MW分の風力発電用タービンの受注を発表。2021年5月に納入し、同年秋に風力発電施設は完成の予定だ。

イタリアは、2019年12月に発表した「エネルギーと気候に関する国家統合計画(PNIEC)」で、最終エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの割合を2030年に30%に引き上げる目標を掲げ、ロードマップを定めている。電力分野では、同年に再生可能エネルギーのシェアを55%にまで引き上げる。なお、最終エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーのシェアの上昇は近年、鈍化傾向がみられ、さらなる再生可能エネルギー発電の導入が求められている。

(福井崇泰)

(イタリア、ドイツ)

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