商法改正に伴う株主総会開催の懸案を調査

(韓国)

ソウル発

2021年03月10日

韓国の大韓商工会議所は3月7日、商法改正に伴う「2021年の株主総会開催に係る懸案の調査」を公表した。3月末に株主総会を開催予定の上場企業308社を対象に調査を実施した結果、主な懸案事項は、(1)事業・監査報告書の事前提供義務による負担(59.1%)、(2)新型コロナウイルスの防疫措置による負担(36.4%)、(3)議決定足数不足のリスク(17.5%)、(4)取締役・監査役など役員選任に関する紛争(12.0%)だった。

商法の改正で、財務諸表や経営陣の現状、配当規模などについて投資家の知る権利を保障するため、資本市場法に基づく事業報告書と監査報告書を、株主総会開催の1週間前までに公示することが義務付けられた。この事前公示義務について、「困難を抱えている」と回答した企業は調査対象企業の76.0%に上った。中でも、「外部監査報告書の早期確定に伴う日程上の負担」と回答した企業は半数以上(67.2%)となった。

また、財閥企業を含む上場企業(注1)の経営監視強化などを目的に、監査委員の選任時に大株主の議決権は各3%に制限される。特に、2021年の株主総会で新たに監査委員を選出する企業の半数以上(54.5%)が支障あると回答し、主な理由としては、「希望する監査委員候補が選出されない可能性がある」(31.8%)などが挙げられた。

さらに、上場企業が6年連続で会計監査人(注2)を自ら選任する場合、その後の3年間は証券先物委員会(注3)が会計監査人を指定する制度(注4)について、2021年は回答企業の45.5%が証券先物委員会から会計監査人の指定を受けているが、うち37.1%が「過去の監査法人が問題視しなかったことまで厳しく監査する」、32.9%が「新しい監査法人による会社の把握が不十分」などの不都合を感じているという。

(注1)資産総額が2兆ウォン(約1,920億円、1ウォン=約0.096円)の以上の上場企業に設置が義務付けられている。

(注2)監査法人でなければならない。詳しくは金融監督院外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(注3)資本市場の不公正取引調査、企業会計基準、会計監理、資本市場の管理・監督・監視などのうち重要事項の事前審議を行う合議制の行政機関。

(注4)2020年の株主総会から適用されている規定。詳しくは金融監督院外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

〔当間正明、申守智(シン・スジ)〕

(韓国)

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