2020年度第3四半期GDP成長率、前年同期比0.4%に改善

(インド)

ニューデリー発

2021年03月09日

インド統計・計画実施省(MOSPI)は2月26日、2020年度第3四半期(10~12月)の実質GDP成⻑率(2011年基準)推計値を前年同期比0.4%、2020年度(2020年4月~2021年3月)の実質GDP成⻑率(2011年基準)2次推計値をマイナス8.0%とそれぞれ発表した(添付資料表1、3参照)。第3四半期のGDPはわずかながら3四半期ぶりのプラス成長に転じた。

2020年度第3四半期の成長率を需要項目別にみると、ほとんどの項目が依然としてマイナス成長となったものの、企業の設備投資などを表す総固定資本形成は前年同期比2.6%とやや持ち直した(添付資料表1参照)。GDPの過半を占める民間最終消費支出は3四半期連続でマイナス成長となったが、マイナス幅は縮小傾向にあり、個人消費が上向きつつある。

産業部門別の粗付加価値(GVA)成長率をみると、農林水産業は好天候を背景に前年同期比3.9%と底堅く推移し、製造業も経済活動の正常化により1.6%のプラス成長に転じた(添付資料表2参照)。そのほか、電力・ガス・水道は7.3%、建設業は6.2%など多くの業種で回復が見られた。一方、鉱業・採掘はマイナス5.9%と2020年度で3四半期連続でマイナス成長となるなど、一部の業種は依然として厳しい業況下にある。

今回の発表では、2020年度第1四半期(4~6月)の実質GDP成⻑率がマイナス23.9%からマイナス24.4%に下方修正され、第2四半期(7~9月)がマイナス7.5%からマイナス7.3%に上方修正された。その結果、2020年度通年の実質GDP成長率(2011年基準)2次推計値 はマイナス8.0%と、1⽉発表の1次推計値から0.3ポイント下方修正された。

2020年度成長率を需要項⽬別にみると、政府最終消費支出を除く全ての項目でマイナス成長となっている。(添付資料表3参照)。

産業部門別の粗付加価値(GVA)成長率をみると、農林水産業は3.0%、電力・ガス・水道は1.8%とプラス成長を維持する一方で、その他の産業は軒並みマイナス成長となり、新型コロナウイルスの影響は大きい(添付資料表4参照)。

インド政府の元主席統計学者のプロナブ・セン氏は「成長のカギとなる重要な問題は新規投資だが、ベースが低いため、2021年度第1四半期(4~6月)は非常に高い成長が見込まれる」と、景気の持ち直しに期待を寄せた(「ビジネス・ライン」紙3月1日)。

(宇都宮秀夫)

(インド)

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