2020年のEC市場が1.5倍に拡大、国内取引が牽引

(ロシア)

サンクトペテルブルク発

2021年03月02日

ロシアの電子商取引(EC)市場が伸びている。ロシア・インターネット取引業協会(AKIT)の発表(2月19日)によると、2020年のロシアのEC市場(BtoC、注)は前年比58.5%増の3兆2,210億ルーブル(約4兆5,094億円、1ルーブル=約1.4円)を記録した(添付資料図参照)。

市場を牽引したのは国内取引だ。ロシア国内のEC取引額は前年比1.9倍の2兆7,810億ルーブル(約3兆8,934億円)に上った。「新型コロナ禍」で在宅時間が増えた消費者からの宅配ニーズの高まりが取引拡大に寄与した。他方、ロシア国外との越境取引額は前年比24.9%減の4,400億ルーブル(約6,160億円)となった。「新型コロナ禍」による航空便の激減など物流の混乱が一因とみられる。

国内取引額の製品別シェアの上位は、1位が電子機器・家電製品(28.2%)、2位が衣類・靴(21.0%)、3位が食料品(10.2%)だった。取引1回当たりの平均購入金額の上位は、電子機器・家電製品の8,817ルーブル(約1万2,344円、前年比25.0%増)、工具・園芸用品の5,983ルーブル(約8,376円、51.1%増)、スポーツ用品の4,252ルーブル(約5,953円、20.1%増)だった。

ロシアのEC関連企業各社はそろって好業績を記録した。EC最大手のワイルドベリーズは、2020年の売上高が前年比2.0倍の4,372億ルーブル(約6,121億円)に達したと発表した(「vc.ru」1月15日)。また、同じくEC大手オゾンの売上高(暫定値)は、前年比2.4倍の1,950億ルーブル(約2,730億円)だったと報じられている(「タス通信」2月17日)。その他、インターネット最大手ヤンデックスの子会社で価格比較型ECサイトを運営するヤンデックスマーケット(2020年6月23日付地域・分析レポート参照)は、売上高が288億ルーブル(約403億円)(前年比1.5倍)に達したと発表した(「タス通信」2月16日)。

写真 大手ECサイト、オゾンで購入した商品を受け取れるピックアップポイント(ジェトロ撮影)

大手ECサイト、オゾンで購入した商品を受け取れるピックアップポイント(ジェトロ撮影)

(注)消費者向けに配送を行う商品が対象であり、映像コンテンツや航空券購入などオンラインで完結する取引・サービスは除く。

(一瀬友太)

(ロシア)

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