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「新型コロナ禍」の下、2020年の温室効果ガス削減目標を達成

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2021年03月25日

ドイツの環境・自然保護・原子力安全省(BMU)は3月16日、2020年の温室効果ガス排出量が1990年比で40.8%減少したと発表、2020年に40%減とする目標を達成した。排出量が前年比で8.7%減に抑えられ(添付資料表参照)、1990年以来最大の減少幅となった。一方、減少の3分の1強が新型コロナウイルス感染防止対策の影響によるため、「生産分野や移動に関する制限措置がなかった場合、2020年の目標達成はできなかった」(ディルク・メスナー環境庁長官)とみられている。

エネルギー分野における削減幅が最も大きく、1990年比で53%減少し、目標を著しく上回った。火力発電の減少が温室効果ガス排出削減に最も大きく寄与した。石炭、褐炭による発電量はそれぞれ前年比で25%減、19%減と減少している。また、欧州での二酸化炭素(CO2)排出権取引価格の値上がり(1トン当たり約25ユーロ)や、再生可能エネルギーの拡大も排出減に寄与した。2020年の総電力消費量に占める再生可能エネルギーのシェアは約45%(暫定値)となっている。

製造分野も、「新型コロナ禍」の経済的影響という景気循環要因に加え、排出権取引や効率化の進展という構造的な要因を背景に、排出量削減の気候保護法で定める削減目標を達成した。経済・エネルギー省は、さらなる排出量削減には、水素の利活用促進とその支援措置が必要と予測している。交通分野も目標を達成した。電気自動車(EV)などの低排出ガス自動車の販売台数の増加などの効果もあるとする一方、2020年春に実施された1回目のロックダウンの際、自動車での遠距離移動が大幅に減少したことが主に寄与したと分析している。また、国内の航空便の運航が「新型コロナ禍」で減少したことも貢献した。なお、建築分野では、商業、サービス産業での排出量が減少したものの、自宅で過ごす時間の長期化により家庭での排出量が微増したことから、気候保護法で定める削減目標を達成できなかった。使われていない事務所で暖房(注)を切らないところが多いこともあり、商業での大きな減少にはつながらなかった。気候問題の専門委員会は詳しい分析を行い、政府が気候保護法に基づいて、建築分野における対策を検討し、2021年7月までに改善案を決定する。

ドイツ経済研究所(DIW)は、目標達成が積極的な気候変動対策によるものではなく、「新型コロナ禍」の経済危機によるものだったため、経済の回復とともに排出量は今後増加する可能性が高いと指摘した。また、2020年の目標達成により気候変動対策の手が緩む可能性が高いとし、今後も気候変動対策目標を達成できるようにするため、さらなる努力が必要だと強調した。このため、再生可能エネルギーの拡大を少なくとも2倍のペースに加速し、インフラの強化によって、より多くのEVや電気鉄道などの利用を促し、グリーン電力を可能な限り拡大すべきとした。また、新規自動車登録台数の一定割合をEVとする割当制の導入や非再生可能エネルギーの利用に対するあらゆる利点を排除することを提言した。

(注)ドイツの多くの建物では集中暖房が採用されており、冬の間は昼夜を問わず暖房が作動している。各テナントが完全にスイッチを切ることができない場合が多い。

(ベアナデット・マイヤー、木場亮)

(ドイツ)

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