欧州委、オーガニック農業振興のための行動計画を発表

(EU)

ブリュッセル発

2021年03月26日

欧州委員会は3月25日、「オーガニック生産の発展のための行動計画PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。「欧州グリーン・ディール」とその関連施策として2020年5月に発表した「生物多様性戦略」と「農場から食卓まで」戦略(注)で掲げた「2030年までにEUのオーガニック農地面積を全体の25%にする(現在は8.5%)」と「オーガニック養殖業を大きく発展させる」ための取り組みを示し、オーガニック農業の振興、より持続可能な食品生産を目指す。行動計画は、(1)オーガニック製品の消費および消費者の信頼の拡大、(2)オーガニック農業への転換を推進し、バリューチェーン全体を強化、(3)持続可能性のさらなる追求という3つの柱から成り、それぞれについて具体的な目標や行動を示している(添付資料表参照)。

また、研究開発支援プログラム「ホライズン・ヨーロッパ」(2021年2月4日記事参照)における農業・林業・地域開発分野の予算のうち、30%以上をオーガニック農業関連に充てるとするなど、研究開発にもさらに力を入れる方針を示した。さらに、進捗状況を確認するため、欧州議会、EU加盟国などの代表や関係者と公開会合を毎年開催し、2年ごとに報告書を刊行するほか、「オーガニックの日」を制定して、EU全体でオーガニック農業に対する認知度を高めるイベントを毎年開催するとした。

農業界も「市場主導型のアプローチ」と歓迎

欧州最大の農業協同組合・農業生産者団体COPA-COGECAは3月25日、声明を発表し、「市場主導型のアプローチ」だとして行動計画を歓迎した。COPA-COGECAは、オーガニック分野の健全な成長のためには、確実な収益性の確保と、必要な投資の誘導、農家の公正な所得の保証が重要だとかねて主張してきたとして、欧州委がオーガニック市場関連のデータの収集や分析を強化するとしたことを評価した。また、研究開発への取り組み強化も評価し、オーガニック生産に必要な飼料や病害や気候変動に対応するために必要な化学農薬の代用品を例に挙げ、今後の研究開発によって農家が適正な価格の新たな飼料や効果的な製品を入手できるようになることへの期待を示し、今後の欧州委の政策や規制枠組みの策定、研究開発への取り組みを支援する意向を表明した。

(注)「欧州グリーン・ディール」とその関連戦略については、ジェトロ調査レポート「新型コロナ危機からの復興・成長戦略としての『欧州グリーン・ディール』の最新動向」(2021年3月)を参照。

(滝澤祥子)

(EU)

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