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今なお続く英金融のEU流出、ダブリンが移転先トップに

(英国)

ロンドン発

2021年03月15日

英国の会計事務所・コンサルティング大手のアーンスト・アンド・ヤング(EY)は3月2日、英国のEU離脱(ブレグジット)に伴う金融サービス業の英国外への機能移転状況に関する調査結果を公表した。

2月末時点で調査した英国金融サービス業者の約43%(222社のうち95社)が、事業や従業員をEU側に移転した、もしくは移転する予定とした。英国がブレグジットを決定した2016年の国民投票以降、約7,600人の同業界従業員が流出しており、前回調査の2020年9月末時点(約7,500人)から100人増加した。また、同社の試算によると、1兆3,000億ポンド(約198兆円、1ポンド=約152円、今後の予定を含む)余りの資産が流出したとし、これも前回調査から1,000億ポンド増加している。さらに、ブレグジットによって調査企業の約4分の1(222社のうち57社)が財政的に悪影響を受けたとしており、2020年1月時点(22%)よりも悪化した。

英国からの移転先として最も人気が高かった都市はダブリンで、36社が移転を検討中または決定したとしている。次いで、ルクセンブルクが29社と多く、フランクフルト23社、パリ20社と続いた(添付資料図1参照)。

欧州全体の地盤沈下加速の懸念も

英国とEUの現状について、EYのマネジング・パートナーのオマール・アリ氏は「このような継続的な不確実性は市場の細分化リスクをもたらし、全ての金融サービスユーザーにとって非効率的でコストがかかるため、双方の世界的な競争力を損なう恐れがある」と指摘。ブレグジット後の機能分散が欧州金融セクター全体の存在感低下を加速させかねないとの見方を示している。

事実、欧州の金融取引における世界シェアは既に低下傾向にある。2020年10月に公表された金融コンサルティング会社ニュー・フィナンシャルの調査レポートによると、2006年時点で世界金融シェアの20%を占めていたEUは、2018年には13%に減少している。さらに、2040年には10%にまで低下する見込みだ。他方、アジア太平洋地域に目を向けると、2006年には18%だったシェアが2018年には28%にまで増加し、EUを抜き去った。同地域はさらなる成長が見込まれており、2040年には54%を占め、世界最大の市場になるとしている。株式・社債の発行額などの項目別でも、ほぼ全てで英国・EU双方のシェアは低下しており、欧州の世界金融への影響力低下は免れない(添付資料図2参照)。

(尾崎翔太)

(英国)

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