製造業の景況感が回復基調、新規受注が好調

(ロシア)

サンクトペテルブルク発

2021年03月05日

「新型コロナ禍」で低迷していたロシアの製造業の景況感が回復傾向にある。英国調査会社IHSマークイットは3月1日、ロシアの製造業購買担当者景気指数(PMI)が年明け以降2カ月連続で前月比で改善していると発表した。

PMIとは、製造業の購買責任者を対象に、新規受注や生産量、雇用、納期、購入在庫の前月比の状況を調査し、季節調整を加えて算出する指数。50を基準とし、これを超えると「前月比で改善・増加」(景況の拡大)、下回ると「前月比で悪化・減少」(景況の縮小)を意味する。需要や取引先動向を見極める製造業の購買責任者による回答であることから、景気動向を予測する先行指標として位置付けられている。IHSマークイットはロシアで製造業の約250社に対して毎月調査を実施している。

2月のPMIは51.5ポイントとなり、1月に続き2カ月連続で基準値の50.0ポイントを超え、景況感の改善が進んでいることが明らかとなった(添付資料図参照)。2020年4月には新型コロナ禍の影響により過去最低となる31.3ポイントを記録していた。

IHSマークイットは、足元の需要の高まりを受けて生産が拡大し、在庫削減や雇用創出につながっていると分析。同社エコノミストのシアン・ジョーンズ氏は、年明けからロシアの製造業が好調に推移しており、2021年の鉱工業生産は前年比4.1%増と予測している。

工作機械や設備を扱うロシアのディストリビューターもジェトロのインタビューに対し、「2020年は多くのプロジェクトが中止・延期になって苦しい状況だったが、最近は新しい設備の導入を再開する動きがある」と語っている。

(一瀬友太)

(ロシア)

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