工業情報化部、自動車企業と半導体企業のマッチング支援

(中国)

北京発

2021年03月10日

中国工業情報化部は2月26日、車載半導体の供給不足に対応するため、自動車企業と半導体企業のマッチングを支援する「車載用半導体需給マッチングハンドブック」を発表した。

ハンドブックには、供給側として車載半導体企業59社の568製品、需要側として自動車・同部品企業26社の1,000製品へのニーズ情報を収録した。うち、完成車メーカーとして第一汽車、上海汽車、北京汽車、BYDなど14社、部品メーカーとして寧徳時代新能源科技(CATL)など12社を掲載している。

工業情報化部電子信息司の喬躍山司長は、自動車業界が車載半導体の供給不足に直面している現状について、自動車市場が2020年初頭に新型コロナウイルスの影響で落ち込んだものの、その後は急回復したため、車載用半導体の供給が需要の急増に追い付いていないことが短期的な要因と分析した。その上で、自動車産業の電動化やスマート化、ネットワーク化の進展に伴い、車載半導体、特に新エネルギー車やスマートカーに搭載する半導体の需要が急増している一方、中国内の半導体企業にはこうした製品の開発経験が不足しており、車載領域では依然として系統的な供給能力を有していないとの見方を示した。

中国車載半導体産業革新戦略連盟の董揚理事長は、中国の車載半導体の産業規模が世界に占める割合はわずか約5.0%で、中国自動車産業規模が世界に占める割合(33.0%)より大幅に低いため、国務院が提起した「中国におけるICチップの自給率を2025年に70%に引き上げる」という目標達成にはまだ大きな距離があると述べた(「央広網」2月8日、注)。

新型電池技術イノベーション連盟の于清教秘書長は今回の施策について、「現在、中国の半導体は発展の初期段階にあり、強力な政策によって国産化による代替を進め、市場の発展を導く必要がある。ハンドブック発表にはこれを牽引する機能がある」と評価した。

喬司長によると、工業情報化部では同ハンドブックを活用して自動車企業と半導体企業のマッチングを引き続き進めるほか、優れた車載半導体ソリューションの他車種への展開を進めるという。さらに、車載半導体の技術向上を目指し、車載半導体の生産ライン製造能力のアップグレードと、優れた車載半導体ソリューションの応用拡大を推進すると同時に、地方政府や業界をリードする企業に対してリソースを集中し、中核的な役割を発揮させるとした。車載半導体の需給マッチングをより迅速に行うために、車載用半導体の需給をマッチングする国内初のプラットフォームの構築も計画しているとされている(「央広網」2月8日)。

(注)国務院が発表している関連データによると、2019年の中国のICチップ自給率は30%前後となっている(「第一財経」3月1日)。

(趙薇)

(中国)

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