中国からの2020年投資、前年比61.1%減、過去5年で最低

(オーストラリア、中国)

アジア大洋州課

2021年03月10日

オーストラリア国立大学(ANU)は3月1日、2020年の中国からのオーストラリア向け直接投資が前年比61.1%減の10億2,866万オーストラリア・ドル(約858億9,311万円、豪ドル、1豪ドル=約83.5円)と発表した。

ANUが発表した中国投資データベース(CHIIA)によると、中国からオーストラリアへの直接投資額は、ピークの2016年以降、年々減少してきたが、2020年は2019年の24億9,900万豪ドル(前年比47.5%減)よりもさらに落ち込み、過去5年間で最低だった。

業種別にみると、2020年の中国からの投資は3業種にとどまり、構成比は不動産44.8%(4億6,090万豪ドル)、鉱業40.3%(4億1,446万豪ドル)、製造業14.9%(1億5,330万豪ドル)となった。また、投資の86%はオーストラリア国内に既に設立された中国企業の子会社からの投資を通じて行われたものだった。

CHIIAを所管する東アジア経済研究局のシロー・アームストロング所長は、中国からの投資が大幅に減少した背景には、新型コロナウイルス感染の影響だけでなく、オーストラリア政府の外国投資、特に中国からの投資に関する監視強化があるという。

オーストラリアでは2020年3月29日から、国益を守るために、全ての外国投資にオーストラリア政府の認可を義務付ける暫定的措置を実施していた。その後、法改正があり、2021年1月1日からその改正法が施行された。それによって、投資額の大小にかかわらず、国家安全保障の観点から重要とされる土地や事業に対する外国投資は、政府による審査の対象となった。また、外国投資に対する監視・調査体制や罰則を強化し、申請費用体系の変更を行うことも盛り込まれた(2020年12月23日記事参照)。

(坂本未侑)

(オーストラリア、中国)

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