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米テキサス大停電、電力系統機関などの責任追及が続く

(米国)

ヒューストン発

2021年03月02日

米国テキサス州での大停電(2021年2月22日記事参照)を受け、復興支援とともに、原因究明や今後の対策に関する論議が活発になっている。同州のグレッグ・アボット知事はこれまで、停電対応で以下3点の方針を示したほか、ピーク需要がさらに高まる夏場の対応も考えるとしている。

  1. 州政府は電力料金の高騰(注1)に関し、複数の電力事業者を調査中。州議会が対策を講じるまで、電力料金の未払いを理由とする電力供給の停止を認めない。
  2. 州内9割の電力系統運用を行う機関「アーコット(ERCOT)」に対する徹底調査を行う。系統に多くの電力を供給し、再度の停電を防ぐ。
  3. ガス、石炭、原子力、風力、太陽光の全ての発電源が寒波に耐えきれなかったことを受け、電力インフラの凍結防止の義務化、必要な資金手当(注2)を州議会の優先課題とする。

アボット知事は特にアーコットについて、寒波の脅威を過少評価したことに加え、徐々に輪番停電を開始できたにもかかわらず、完全停電寸前まで決断が遅れ、大規模な停電につながったと批判している。アーコットのビル・マグネス最高経営責任者(CEO)は、完全停電を回避するためにも州各地での停電は不可避だったと強調するが、アーコットに対する集団訴訟や、停電中にモービル・ホーム(トレーラーハウス)で亡くなった少年の家族がアーコットらに1億ドルの賠償を求める訴えが続くなど、風当たりは強い。

2月25日の州議会公聴会では、アーコットのガバナンスの問題、逆にアーコットを設計した州議会の責任、アーコットを監督する州公共事業委員会(PUC)の責任、州政府から電力事業者までの関係者間のコミュニケーション不足など、停電をめぐるさまざまな議論が噴出。証言に立った発電大手企業幹部は、通常の冬季からは想定外の電力需要増がある中、凍結対策がされていなかった天然ガスの供給システムの断絶も含め、広範な問題点が電力供給不足につながったと述べている。テキサス州では市場の自由化により、元々、電力会社は危機時にも対応できる発電を求められていないこともあり、今後、電力システムの制度設計も含めた広範な議論が続きそうだ。

テキサス州製造業協会(TAM)のトニー・ベネットCEOは、今回の停電が、テキサスが売りとする割安で信頼性の高い電力供給への不安をかきたてないか懸念している(「ダラス・モーニング・ニューズ」紙2月26日)。テキサス州は、ヒューレット・パッカード・エンタープライズやオラクルの本社機能移転(いずれも2020年12月発表)や、テスラの新工場建設(2020年7月28日記事参照)など近年、相次ぐ企業投資にわく。米国エネルギー情報局(EIA)によると、同州の電気料金は2019年時点で1キロワット時8.6セントで、全米平均10.5セントより18%低く、50州中9位の安さを誇る。ビジネス環境の観点からも、価格と安定供給のバランスをめぐる今後の議論には注目が集まる。

(注1)今回の寒波により電力需給が逼迫したことで、電気料金が高騰。報道によると、数日分の電気料金の請求額が数千ドルに上った住民も。

(注2)財源をめぐり、2011年をピークとする記録的な干ばつを受け、2013年に貯水池の整備などへの低利融資のため、州経済安定化基金(ETF)から約20億ドルを拠出した例が挙げられている。ETFは1989年に設置され、石油ガス生産税収のうち、1987年の税収額を上回る部分の37.5%が繰り入れられている。2021会計年度末時点で基金規模は154億ドル(見込み)と、同種の基金としては全米最大級規模。2015年には、公道の建設や維持の財源として、州売上税収が280億ドルを上回った際に、最大25億ドルを2017年から2032年にかけて毎年、州高速道路基金に繰り入れることになった例もある。

(桜内政大)

(米国)

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