1月の自動車販売は前年同月比で増加も輸入に遅れが発生

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年03月02日

アルゼンチン自動車販売代理店協会(ACARA)は1月29日、2021年1月の自動車国内販売(新車販売登録)台数(トラック・バスを含む)が前月比2.4倍、前年同月比9.6%増の4万8,626台だったと発表した(添付資料図参照)。

前月比増の要因として、アルゼンチンでは1月は通常、12月に比べて自動車販売台数が大きく増加する時期で、現地自動車専門誌「アウトブログ」では、新車を後日手放す際、登録年数が浅い方がよいため、「1月に購入する人が増加する傾向にある」と説明している。

なお、前年同月比でも約10%増と回復したが、2019年1月(販売台数5万9,491台)と比較すると18.3%減少し、2年前の水準を大きく下回っている。2021年通年の自動車販売台数の見通しについては、新型コロナウイルス感染拡大の影響による景気回復の遅れを受けて「2020年よりも悪化する」との見方だ。年間販売台数は約40万から43万台と見通している。

1月の乗用車と軽商用車の販売台数をブランド別でみると、トヨタが9,537台(シェア:20.3%)で12月に続いて首位を維持し、フィアットが7,087台(15.0%)、フォルクスワーゲン(VW)が6,594台(14.0%)と続いた(添付資料表1参照)。

1月の販売台数を車種別でみると、フィアットのクロノスが5,224台となり、トヨタの商用車ハイラックス3,476台を抜き、首位を奪った(添付資料表2参照)。プジョーの208が2,230台で3位に上昇(前月は4位)。上位10車種には、トヨタのカローラ(1,698台)、ヤリス(1,653台)、エティオス(1,611台)がランクインし、同社の人気が際立つ。

2021年1月29日付「アウトブログ」によると、販売台数1~5位の車種は全て国産車で、「完成車の輸入手続きの遅延」がその原因だとしている。2019年12月以降、外貨不足を背景に輸入規制が強化され、輸入の総合モニタリングシステム(SIMI、注)を通じた輸入手続きに「大幅な遅延」が生じている、と同誌は説明する。加えて2021年1月からは、資本財、中間財の輸入手続きに「オンライン手続き(TAD)プラットフォーム」の利用が加わったため、輸入手続き全体がさらに遅延したようだ。1月19日時点で、ブエノスアイレス州に位置するサラテ港およびラ・プラタ港では、通関できない輸入車で埋め尽くされていたという。

(注)SIMIについてはジェトロ貿易管理制度輸入管理を参照。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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