モリソン首相が再び内閣改造、女性閣僚の登用拡大

(オーストラリア)

シドニー発

2021年03月31日

オーストラリアのスコット・モリソン首相は3月29日、内閣改造人事を発表した(添付資料表参照)。2020年12月に内閣改造を行ったばかりだったが(2020年12月21日記事参照)、政界で相次ぐ性的暴行問題を受け、女性閣僚の登用を拡大して政府のイメージ刷新を図る狙いがある。

これまで国防相を務めていたリンダ・レイノルズ氏は、性的暴行被害を訴えた元政府職員への対応をめぐって批判を受けており、今回の改造で全国障害がい者保険制度・行政サービス担当相へ移ることとなった。法務・労使関係担当相を務めていたクリスチャン・ポーター氏には過去の性的暴行疑惑が浮上しており、今回の改造で産業・科学・技術担当相へ異動した。後任の国防相には、内相を務めていたピーター・ダットン氏、法務・労使関係担当相には雇用・技能・小企業・家族経営企業担当相だったミケイリア・キャッシュ氏、内相には産業・科学・技術担当相を務めていたカレン・アンドリュース氏がそれぞれ就任した。閣外相だったメリッサ・プライス国防産業相を閣内に引き上げた。これによって、閣内の女性閣僚は7人に増えた。

さらに、性的暴行問題を含む政界の職場文化への批判に対処するため、マリース・ペイン外相が兼務する女性担当相に加え、新たに女性安全担当相を置き、女性の平等や安全などの問題について議論するタスクフォースを立ち上げる方針を明らかにした。

モリソン首相はこれまで、新型コロナウイルス感染拡大防止のための各種施策が評価され、高支持率を維持してきた。しかし、調査会社ニュースポールが3月29日に発表した世論調査によると、モリソン首相を「好ましい首相」とした割合は52%となり、2月下旬の61%から急落した。また、与党・保守連合(自由党、国民党)と最大野党・労働党の2党間支持率では、労働党(52%)が保守連合(48%)を上回っている。

(住裕美)

(オーストラリア)

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