新型コロナの影響で2020年第4四半期の完全失業率は11.0%

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年03月31日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は3月25日、2020年第4四半期(10~12月)の世帯アンケート(EPH)に基づく労働力調査の結果を発表した。それによると、第4四半期の完全失業率は11.0%で、前年同期比2.1ポイント増、前期比0.7ポイント減となった(添付資料表参照)。

完全失業率を男女別、年齢階層別にみると、14歳から29歳までの女性が26.0%と最も高く、前期比2.9ポイント増加した。次いで、同世代の男性が19.0%(前期比0.8ポイント減)となった。

失業者の求職期間をみると、53.8%が6カ月から1年以上も求職活動をしている。完全失業者の17.6%は「職歴がない、または離職から3年以上が経過した者」を含む新規失業者とされる。失業前に就業していた経済活動分野は、建設業(22.9%)、家事サービス(16.9%)、商業(12.6%)、製造業(10.4%)、ホテル・レストラン、運送・通信、教育などを含むその他の分野(36.3%)となっている。

INDECによると、新型コロナウイルス感染拡大により失業率が悪化しただけでなく、全人口に占める労働力人口(就業者と失業者の合計)の割合が減少した。第4四半期の労働力人口は45.0%で、前年同期比2.2ポイント減となった。前期比では2.7ポイント改善したものの、新型コロナウイルス感染拡大前の水準には回復していない。また、新型コロナウイルス感染拡大がもたらした変化として、在宅勤務者が増加した。就業者のうち在宅勤務を行ったのは20.2%で、前年同期の2.5%に比べると17.7ポイントの大幅増となった。

3月29日付の現地紙「iプロフェッショナル」電子版は、第4四半期の失業率が前期比で改善したのは、「就業者数の26.4%を占める自営業者と32.7%を占める非正規労働者が増加したため」との識者の見解を紹介している。失業者や「就業が可能だが求職活動をしない」非経済活動人口、「週間の労働時間が35時間を下回り労働時間を増やしたい」と考える不完全就業者などを合計すると、約600万人が就業に問題を抱えているという。また、雇用機会が十分に創出されていないことが「就業意欲をなくした人口」の増加につながっているとも指摘している。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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