感染急拡大を受け、首都ナイロビなど5郡にロックダウンを発令

(ケニア)

ナイロビ発

2021年03月29日

ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領は、新型コロナウイルスの感染が急速に拡大し、集中治療室(ICU)がほぼ満床となっている状況を踏まえ、3月26日に首都ナイロビを含めた5地域に対してロックダウンを宣言し、翌27日から施行した。新型コロナウイルス対策に関する15回目となる大統領演説の要旨は以下のとおり。

  • 1月の新規感染者数は4,380人だったが、3月は現時点で1万5,916人に急増している。陽性率も1月は2.6%だったが、現在は19%に上昇している。
  • 47郡のうち、感染者数は5郡(ナイロビ首都圏、カジアド、マチャコス、キアンブ、ナクル)で全体の7割を占めているため、同5郡を感染地として指定し、他地域への道路・鉄道・空路を含む全ての移動を3月27日から当面の間、禁止する。
  • 夜間外出禁止令は、同5郡のみ午後8時以降の外出を禁止する。それ以外の42郡は、従来どおり午後10時~翌日午前4時の外出を禁止する〔違反した場合は1万ケニア・シリング(約1万円)の罰金が科される〕。
  • 夜間外出禁止の免除パスの乱発が感染拡大をもたらしたという反省から、現在発行されている免除パスは全て無効にし、再発行の手続き方法を見直す。
  • 同5郡の宗教施設における礼拝を当面の間、停止する。
  • 大学や職業訓練学校を含む全ての教育施設で対面式授業を当面の間、停止する。ただし、医療教育施設は除く。
  • 全てのスポーツ活動を停止し、スポーツ・レクリエーション施設の運営を当面の間、停止する。
  • 同5郡におけるバーの営業を当面の間、停止する。レストランでのアルコール提供も禁止する。
  • 同5郡におけるレストランの営業は、テークアウトのみ認める。
  • 公共交通機関の乗車人数は収容人数の60%を上限とする。
  • 病院の入院患者への見舞いは、患者1人当たり2人を上限とする。
  • 対面式イベントの参加人数は、当面の間、15人を上限とする。
  • 葬儀は死亡確認後、72時間以内に執り行い、参加者数は50人までとする。
  • 結婚式の参加者数は30人までとする。
  • 高齢者の死亡率が高いことに鑑み、58歳以上は優先的にワクチン接種する。

感染地として指定された5郡と他地域との移動が猶予期間もなく禁止となったため、移動手段がなく取り残された人々の間で混乱が生じている。

人の移動は禁止されたものの、2020年5月に発令された都市間移動禁止措置(2020年5月19日記事参照)と同様に、物流は従来どおり輸送可能だ。

また、日本を含めた国際的な人の移動については、従来どおり、ケニア到着96時間前に発行された新型コロナウイルス陰性証明書を提示すれば入国できる。

(西川壮太郎)

(ケニア)

ビジネス短信 93862023bc132d1e