米SEC、企業の環境・社会・ガバナンス開示基準見直へ意見募集を開始

(米国)

ニューヨーク発

2021年03月18日

米国証券取引委員会(SEC)は3月15日、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)対策に係る開示基準の見直しに関して、パブリックコメントを募集すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。期間は15日から90日以内の6月13日まで、専用ページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどから広く意見を募集する。

SECは2010年に気候変動に関連する企業情報の開示基準の指針PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表しているが、これは自主的なガイドラインにとどまっていることに加え、世界的に普及している他の自主開示基準(注)と整合性が取れていないなどの課題があり、どの基準に従うか、またその順守状況は企業によってさまざまだった。SECの委員長代理のアリソン・ヘレン・リー氏は、企業間の開示情報のギャップにより投資家によるESG情報の比較が困難な点など、既存の開示基準の自主的な枠組みには固有の欠点があると指摘しており、今回の見直しでこうした課題の解消が期待されている。

企業のESG情報開示に係る意見募集に関して、SECでは検討のための15の質問項目を掲げており、主なものとして以下の項目がある。

  1. 年次報告書などをいつどのように開示すべきか。
  2. 温室効果ガス排出量の削減目標など、開示すべき内容は何か。
  3. 金融、石油・ガス、運輸業界など業種ごとに異なる開示義務を設定すべきか。
  4. 国際的に適用されている開示基準に準じた新たな基準を設けるべきか。
  5. 基準を順守しない場合、その理由の説明責任の開示義務を設けるべきか。

SECでは、意見提出に際してコメントを裏付けるデータやその他情報も併せて提出することが期待されるとしている。

財務次官などを務めたSEC委員長候補のゲイリー・ゲンスラー氏も、気候変動などの企業の情報開示について支持すると述べている。SECは気候変動やESGに関連する不正行為を積極的に特定するためのタスクフォースを設立するとしており、これらの審査を今後さらに強化していくとみられる。

(注)例えば、社会の持続可能性に関する自主開示基準を設定している国際団体として、CDP外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますCDSB外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Climate Disclosure Standards Board)、GRI外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Global Reporting Initiative)、IIRC外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(International Integrated Reporting Council)、SASB外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(Sustainability Accounting Standards Board)などがある。

(宮野慶太)

(米国)

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