1月の小売売上高は24カ月連続となる前年同月比マイナス

(香港)

香港発

2021年03月08日

香港特別行政区(以下、香港)政府統計処は3月3日、2021年1月の小売売上高(速報値)が前年同月比13.6%減の325億9,500万香港ドル(約4,563億円、1香港ドル=約14円)だったと発表した。2019年2月から24カ月連続で前年同月比マイナスとなり、マイナス幅は前月の13.3%から0.3ポイント拡大した(添付資料図参照)。ただし、小売売上高は春節前に最高値を記録するのが通常だが、2020年の春節は1月、2021年の春節は2月であることに留意する必要がある。

また、2021年1月の小売売上高のうち、オンライン販売額は23億7,100万香港ドルで(全体の約7.3%)、前年同月比92.1%増となっている。

業態および品目別にみると、最も落ち込んだ主な品目は「薬および化粧品」で、前年同月比40.1%減の22億3,200万香港ドル。そのほかで、減少幅が大きかったのは「宝飾、時計および高級贈答品」で、31.7%減の33億6,900万香港ドルとなった。これまで好調だった「スーパーマーケット」は、9%減(前月は前年同月比11.7%増)の48億200万香港ドルだった(添付資料表参照)。

香港政府報道官は「新型コロナウイルス第4波(注)到来の中、2021年1月の小売売上高は、前年同月比で引き続き大きな下落幅を計上したが、昨年と春節の時期が異なることから、より正確に現状を把握するためには、1月と2月の小売売上高を合計して評価した方がよい。また、香港のインバウンド観光業は引き続き停止状態で、近い将来の小売業のビジネス環境は厳しい状態が続くと思われるが、ワクチンの効果が出れば、年後半の小売りセクター、ひいては経済全体の復調の助けとなるだろう」とコメントしている。

香港小売管理協会の謝邱安儀主席は「消費者が支出する分野が日用品を中心とした商品に限られているため、新型コロナウイルス規制がさらに緩和されたとしても、衣類や宝石、高級品などの短期的な消費意欲は弱いままと予想され、(政府が消費刺激策として導入予定の)電子消費券の効果は限定的だろう」と述べている(「サウスチャイナ・モーニングポスト」紙3月4日)。

(注)香港では一般的に、2020年1月の新型コロナウイルス感染拡大開始を「第1波」、3月中旬以降の輸入症例拡大を「第2波」、7月中旬以降の域内感染拡大を「第3波」と呼んでいる。現在は「第4波」が到来しているとされる。

(野原哲也)

(香港)

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