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欧州委、男女間の賃金格差の公表義務含む賃金透明化法案を発表

(EU)

ブリュッセル発

2021年03月08日

欧州委員会は3月4日、「欧州社会権の柱」の実現に向けた行動計画(2021年3月5日記事参照)の一環として、賃金の透明性を強化するための指令案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。EUでは、既に2006年のEU指令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますなどにより、同一労働における男女間の賃金の平等を雇用主に対して義務付けているが、最新の統計によると、EU全体での男女間の賃金格差はいまだに14.1%に上り、こうした規制の執行が不十分だと指摘されている。背景には賃金の透明性の欠如があるとされており、EUの規制執行の障害になっているだけでなく、雇用主が賃金体系を改定するインセンティブの欠如にもつながっているとされる。そこで、今回の法案は賃金の透明性を高め、労働者が権利行使をしやすくする環境を整備することで、同一労働同一賃金を目指すものだ。

賃金の透明性の強化策として、以下が提案されている。

  • 雇用主は、賃金水準の求人広告への明記、あるいは面接前までに賃金水準を提示することが義務付けられる。また、求職者に前職の賃金水準を聞くことを禁止する。
  • 労働者は自身の賃金水準のほかに、同一労働をしている労働者の男女別の平均賃金水準を知る権利を有し、雇用主は合理的な期間にこうした情報を提供する義務を負う。
  • 労働者を250人以上雇用する雇用主には、男女間の賃金格差、賃金水準ごとの男女比率などを自社のウェブサイトなどで毎年公表することが義務付けられる。同一労働を基準に男女間の賃金格差が5%以上あり、かつ、雇用主がこうした格差を客観的かつジェンダーに中立的な事由によって正当化できない場合には、雇用主は共同賃金アセスメントを実施しなければならず、結果によっては、労働者代表と協力して格差を是正しなければならない。

また、差別にあった労働者の司法へのアクセスの改善策として、以下が提案されている。

  • 差別を受けた労働者の損害賠償請求を容易にするために、差別が存在しないことの立証責任は雇用主側が負うこととし、雇用主が勝訴するためには差別の不存在の完全な立証が求められる。
  • 裁判費用などについて、労働者が勝訴した場合に雇用主に請求できる一方で、雇用主は勝訴した場合でも、虚偽など悪質な場合や、特別な状況下(財政が貧弱な零細企業の場合など)で費用請求しないことが合理性を欠くとみなされる場合を除き、労働者に請求できない。
  • 加盟国はこうした司法へのアクセス改善のための法整備が求められ、さらに、十分な抑止効果が期待できる罰金の最低額を設定しなければならない。

同指令案は今後、EU理事会(閣僚理事会)と欧州議会で審議され、採択後は施行から2年以内に各加盟国は国内法を整備し、適用する必要がある。

(吉沼啓介)

(EU)

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