北京市や上海市で外国籍者に対する新型コロナワクチン接種を開始

(中国)

北京発

2021年03月30日

中国の北京市政府(外事弁公室)は3月26日、北京市に居住する外国籍者についても新型コロナウイルスワクチンの接種対象に含めると発表した。3月中旬から、基層行政単位である「社区(団地)」や「街道」から、それらの管轄地区に所在する日系企業などに対し、外国籍者へのワクチン接種に関する情報が断片的に出されていた。今回の北京市政府からの正式通知で、対象年齢や費用、予約のプロセスなどの詳細が明らかになった。

接種対象となる範囲や接種のための予約方法などの詳細は、北京市政府のホームページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(中文、英文併記)で確認できる。その概要は以下のとおり。

  • 対象年齢は18歳以上。
  • 接種するワクチンの種類は、中国製の不活化ワクチンで、計2回接種する。
  • 接種費用について、北京市の社会保障医療保険に加入している者は、接種会場で当市の医療保険加入証明書を提示すれば、無料で接種することができる。一方、北京市の社会保障医療保険に加入していない場合は、1回当たり93.5元(約1,500円、1元=約16円)の費用がかかる。
  • 接種に当たっては、就労者は所属する会社を、大学の教師・学生は学校を、その他は所属する社区を通して予約をする。

なお、上海市政府も3月23日、上海市に居住する外国籍者も新型コロナウイルスワクチンの接種対象に含めると発表している。今後、北京市と上海市以外の省・直轄市・自治区においても同様の措置がとられる可能性がある

集団免疫の獲得に向けワクチン接種率の引き上げが課題

中国疾病予防コントロールセンターの高福主任は3月22日、2022年の初頭あるいは2021年末までに、中国国内のワクチン接種率が人口の70~80%に達し、基本的に集団免疫を獲得できるとの見通しを示した(「環球時報」3月23日)。

一方で、国家衛生健康委員会の発表によると、3月28日時点において、中国国内での新型コロナウイルスワクチンの累計接種件数は1億661万3,000件にとどまっており、接種率の引き上げが課題となっている(注)。接種率の引き上げのために、地方政府がインセンティブを付与する事例も出てきている。

北京市大興区は、同区の18歳以上の人口のうち、73.2%が既にワクチンの1回目接種を完了したとしており、2回目の接種を促進するために、3月24日から同区の一部のスーパーマーケットなどで使用できる消費クーポン券を配布すると発表した。クーポン券の総額は2億元を上回る規模としている(「北京日報」3月24日)。

(注)国家衛生健康委員会ハイレベル専門家グループ長の鐘南山氏は3月1日、中国のワクチン接種者数の総人口に占める比率は3.56%で、イスラエルやアラブ首長国連邦(UAE)、英国、米国などと比べて低い水準にとどまっていると指摘していた(「毎日経済新聞」3月2日)。

(藤原智生)

(中国)

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