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アルゼンチン、IMFとの債務再編合意は10月以降の公算

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2021年03月30日

アルゼンチンのマルティン・グスマン経済相は3月24日から25日にかけて米国を訪問し、約450億ドルの債務再編についてIMFと協議した。グスマン氏は25日、自身のツイッターを通じて「アルゼンチン経済がどのように機能しているのか、また、マクロ経済政策の基本原則について共通の理解を得るためにIMFのチームと建設的に議論し、重要な進展があった」と述べた。しかし、24日にグスマン氏がIMFのクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事と会談した直後、クリスティーナ・フェルナンデス副大統領は「われわれには(IMFに)支払うだけの資金がないため、支払うことができない」「その返済条件は受け入れがたいものだ」と述べたことを複数の現地紙が報じており、IMFとの交渉に水を差した。中間選挙を10月に控え、国民の痛みを伴う経済政策を打ててない中、債務再編交渉は長丁場となりそうだ。

IMFのジュリー・コザック西半球局次長とルイス・クベドゥ・アルゼンチン担当ミッションチーフが率いるIMFの交渉チームも、グスマン経済相率いるチームとの協議の後に、声明を発表した。IMFは、インフレは多面的な現象で、その抑制には「一貫したマクロ経済政策」と、「インフレ期待を抑制するための調整努力」の両方が必要という点で一致したと述べた。さらにIMFは、付加価値の高い輸出と生産性を向上させる政策が重要との認識が共有されたことを紹介した。これにより、外貨準備のさらなる積み増しが可能となり、経済は外部からのショックに対処できるようになり、民間投資の増加に支えられた「より強固な成長軌道を維持することができる」とも述べた。IMFは、アルゼンチンが必要な投資を持続的に集め、レジリエンスを強化するため、両者は「国内資本市場の継続的な発展が不可欠」という点でも一致したと述べた。

IMFのゲイリー・ライス・コミュニケーション局長も3月25日に会見を行い、アルゼンチンが要請している拡大信用供与措置(EFF)の返済猶予期間について「EFFは4年半から10年かけて、半年ごとに、12回均等に分割して返済されることになっており、この条件はアルゼンチンだけでなく全ての国に一律に適用される」と述べ、アルゼンチン国内で返済猶予期間として20年を要求する声が上がっていることに対して、否定的な見解を示した。

2020年8月に始まったIMFとの債務再編交渉は当初、パリクラブへの約24億ドル債務が返済期限を迎える5月末日までに終了する、というのがメインシナリオだった。しかし、アルゼンチン国内では、以下のいくつかの理由から、10月の中間選挙後の合意というシナリオが本命視されつつある。

まず、降雨による水不足の解消が穀物生産量の増加につながるとの予測、穀物の国際価格の高騰が輸出収入を増加させ、当面の債務返済を乗り切る原資になる、との見方だ。加えて、新型コロナウイルス感染拡大による打撃を受けている国に対して、IMFが6,500億ドルの特別引き出し権(SDR)の新規配分が議論されていることだ。アルゼンチンはIMFへの出資比率(0.67%)に応じて44億ドルを引き出すことが可能とされており、これにより外貨準備高を積み上げることができる。過去の債務危機において、IMFの支援により資金凍結など痛い目にあった国民の記憶は風化しておらず、2021年10月の中間選挙を前にIMFとの間に厳しい条件での合意を結びづらい、中間選挙前に緊縮的な経済政策を取りづらい、という国内事情もある。

とはいえ、中間選挙前の2021年9月にはIMFへの19億ドルの返済も控えており、IMFへの債務返済がいよいよ本格化する。間もなく返済期限を迎えるパリクラブの債務を返済するのか、返済期限の延長を再交渉するのか、デフォルト(債務不履行)にするのか、SDRの引き出しにより返済できるのか、さまざまな見方が出ているが、選挙を中心に物事が決まっていくことになりそうだ。

(西澤裕介)

(アルゼンチン)

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