2020年のGDP成長率はマイナス5.8%、1982年以来の減少幅に

(チリ)

サンティアゴ発

2021年03月24日

チリ中央銀行の発表(3月18日)によると、2020年のチリの実質GDP成長率はマイナス5.8%だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた第2(4~6月)、第3四半期(7~9月)の大幅な落ち込みにより、1982年にマイナス11.0%を記録して以降最低の水準を記録した(添付資料図参照)。

需要項目別にみると、内需は消費、投資ともに大幅に減少し、マイナス9.1%となった(添付資料表1参照)。新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出制限により、レストランやホテル、運輸などのサービス分野の消費が減少したため、民間消費はマイナス7.5%だった。政府消費は教育サービスの減少により、マイナス3.9%だった。総固定資本形成は、建築プロジェクトの延期の影響を受けた建設・その他の投資がマイナス11.3%、産業用機械やトラックなどの輸入減により設備投資がマイナス11.8%となったため、マイナス11.5%の大幅減となった。

財・サービスの輸出入は、輸出が1.0%減、輸入が12.7%減だった。輸出の減少は主に観光、運輸サービスの減少により、輸入の減少は主に産業用機械、トラック、自動車の輸入減によるものだった。

経済活動別にみると、鉱業、電気・ガス・水道、通信、金融サービス、公共サービスを除いてマイナスとなった。減少幅が大きかったのはレストラン・ホテル、運輸、個人サービスで、GDP成長率全体への寄与率はそれぞれマイナス12.3%、マイナス17.8%、マイナス36.2%だった(添付資料表2参照)。個人サービスは、対面授業の停止による教育分野の影響が大きく、運輸は、人々に課された移動制限により陸上輸送、航空輸送が共に落ち込んだ。

チリ中銀は、2020年12月に発表された金融政策報告書の中で、チリ政府が進める新型コロナワクチン投与計画や銅の国際平均価格の高騰などのプラス要因を考慮して、2021年のGDP成長率は5.5~6.5%のプラス成長になるとの予想を発表している。

(岡戸美澪)

(チリ)

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