ISO、女性起業の用語を定めた文書を発行

(スイス、スウェーデン、世界)

ジュネーブ発

2021年03月16日

国際標準化機関(ISO、在ジュネーブ)は、国際女性デーの3月8日に、女性の起業を支援するため、関連する用語を定めた文書を発行した。国連が定めるアジェンダ2030のSDG 5(注1)に貢献するものとして注目される。

発行された文書は、「IWA34:2021女性の起業-重要な定義と一般基準(Women's entrepreneurship — Key definitions and general criteria)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」だ。国際ワークショップ協定(International Workshop Agreement:IWA)とは、ISO専門委員会の全プロセスを通してではなく、ワークショップ会議を通して作成される合意文書の1つで、数回の会議を経て短期間で作成される。今回発行された文書は、スウェーデン政府がスポンサーとなり、国際貿易センター(注2)とスウェーデン規格協会(SIS)が議論を主導、日本を含む57カ国の有志183人によりまとめられた。

IWA34は、女性の起業に関する用語と定義を定めるほか、女性が所有する企業や女性が主導するビジネスなどの定義の判断基準を定めている。各国の政府や団体が女性の起業を支援するプログラムを展開しているが、国際的に統一された用語が存在せず、データの比較や支援プログラムで混乱が生じていたことを受けて標準化が行われた。例えば、「女性所有のビジネス(women-owned business)」「女性経営のビジネス(women-led business)」、「women-led cooperative(女性経営の協同組合)」などの用語が定義されている。今後、この標準が政府の統計局、金融機関、女性支援団体など幅広い組織に使われることで、女性の起業に関する国際的なデータの収集・比較が可能となり、女性の起業促進に貢献することが期待される。

IWA34は、ISO外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますまたは日本規格協会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの公式サイトから購入ができる。

(注1)SDG 5:国連による持続可能な開発目標の1つで、ジェンダー平等を目指すもの。

(注2)国際貿易センター(International Trade Centre):中小企業の国際化を促進するため、国連とWTOが1964年に共同で設立した機関。

(小谷由紀子)

(スイス、スウェーデン、世界)

ビジネス短信 52bbed3c6f08ccad