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新型コロナがサービス規制強化の触媒に、海外事業戦略の立案にはSTRI活用も有効

(世界)

国際経済課

2021年03月11日

OECDの研究によれば、サービス貿易の規制が年々厳格化する中、2020年も全体として一段と規制が強まっていることが分かった。OECDは2021年2月に発表した報告書「OECDサービス貿易規制指数:2021年までの政策傾向外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、世界のサービス関連規制は年々強化される傾向にあり、そのペースも加速していると指摘。2020年は新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が、一定の触媒となった可能性もあると分析した。

OECDは同報告書の中で、主要国別・サービス分野別のサービス貿易関連規制の制限度を測る指標として、「サービス貿易規制指数外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〔以下、STRI(Services Trade Restrictiveness Index)〕」を用いている。STRIとは、各国のサービス分野に関するあらゆる規制をデータベース化し、可視化を図る指数だ。OECDは具体的に、「2020年中には26カ国・地域で、2019年比で倍増となる115の政策変更が認められ、その結果、750のSTRI指標への影響が確認された」と報告。とりわけ、コンピュータサービス、銀行、放送事業などで規制強化が顕著で、具体的には外国投資スクリーニングや出資規制の強化、人の移動制限などの拡大が影響した。他方で、リモートワークやオンラインによる事業運営に対応すべく、デジタル貿易の障壁は軽減されたとも補足した。

今回の発表に際し、STRI作成に携わるOECD貿易農業局の青木和代貿易政策アナリストに3月9日にヒアリングしたところ、「新型コロナによる経済的なインパクトが大きい中、さらにビジネス活動への制限が強化されることへの懸念があった。今回の報告書は、それらの実態を定量的、かつ横並びで比較し、ビジネス関係者や政策担当者に示すもの」と説明した。

一般的に、物品貿易における関税率と異なり、サービス規制を数値で把握するのは困難だ。ところが、国際ビジネスの局面では、WTO交渉や自由貿易協定(FTA)網拡充を受けて、関税自由化が一定程度進む一方で、把握しづらいサービス分野の規制の方が障壁としては大きいとの議論もOECD内で出ている。そこでOECDは、サービス規制を可視化するSTRIプロジェクトに2014年から着手。STRIは、OECD加盟国と中国、インド、タイなど一部非加盟国も含む48カ国における22のサービス分野を対象に、外国からの市場参入や人の移動など5つの政策分野に関するサービス貿易関連規制を整備しており、サービス規制を定量的に把握できる唯一の指標だ(注)。STRIデータベースは、国ごとに約1,920の施策、15万件のウェブリンク、1万超の法令などの詳細情報を含み、最新の規制状況を反映して年に1回、関係国の事実確認も経て更新される。

新型コロナの行方も含め、海外ビジネスを取り巻く不透明感が増す中、青木氏は「STRIはサービスに関する規制を定量的に横並びで簡単に比較でき、根拠条例なども全て収録されている。ビジネスにとって実用的な情報も多く含むことから、海外進出の検討用資料として有用」とコメント。例えば、特定業種の出資規制や滞在期間制限など、関心の規律を複数国間で容易に比べてシミュレーションでき、海外戦略立案に際しSTRIを活用する利点は大きい。

(注)FTAや投資協定において、当事国間で約束されたサービス分野の自由化は、STRIには反映されていない。

(吾郷伊都子)

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