国家水素戦略の着実な実行目指し、水素全国会議を開催

(フランス)

パリ発

2021年03月04日

フランス政府は2月25日、水素全国会議外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます初会合外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを南西部アルビ市で開催した。水素全国会議は国家水素戦略(2020年9月10日付記事参照)の着実な実行を目指し、1月に設立された。水素部門のほか、エネルギーや化学、鉄鋼、航空機、自動車、建設など関連部門の企業経営者からなる。今回の会合で、国家水素戦略の発動を契機に、国内各地で水素や関連プロジェクトが活性化していることを確認した。

国家水素戦略は総額70億ユーロのうち20億ユーロを2022年までにクリーン水素製造セクターの創出などに投資するとしていた。政府はこれまでに、水素技術に関わる27件の研究開発プロジェクト(投資総額2億1,200万ユーロ)に3,700万ユーロを支給したほか、南西部オクシタニー、東部グランエストなど4つの地域圏での水素エネルギー列車の購入(計14車両、投資総額3億ユーロ)に資金援助を行った。水素燃料を利用した航空機の開発を目指す航空機産業に対しても、6,000万ユーロを拠出した。

地方でのクリーン水素製造や水素モビリティー(水素燃料電池車)の普及など、環境・エネルギー管理庁(ADEME)が公募選定した7件の「地方水素エコシステム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」プロジェクト(投資総額1億3,600万ユーロ)に4,500万ユーロを助成する。2回目の公募には既に47件以上のプロジェクトが応募するなど、地方レベルでも水素プロジェクトの活性化が見られる。

水素産業の業界団体フランス・イドロジェーヌによると、現在4件の電解槽製造プロジェクトが進行しており、導入が予定されている水電解装置の総設備容量は3.2ギガワット(GW)で、2030年までに6.5GWと定めている国家水素戦略の目標の約5割に達する。

また、水素産業の創出に伴って必要となる新たな人材の育成については、水素モビリティー事業のシンビオが自動車部品フォレシアとミシュランとの共同で、リヨン市周辺に職業訓練施設を開校し、年間約300人の人材育成を目指す。産業ガスのエアリキードも2021年9月からル・アーブル市近郊で建築・土木工学専攻の学生を対象に水素関連セクターのニーズに応じた職業教育を提供する。

次回会合は、水素分野の規制や標準化などの共通の関心事項をテーマに、2021年夏までに開催される予定だ。

(山崎あき)

(フランス)

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