2州の州議会選挙で連邦議会第1党のキリスト教民主同盟が敗北

(ドイツ)

ミュンヘン発

2021年03月16日

ドイツ南西部のバーデン・ビュルテンベルク州と西部のラインラント・プファルツ州で3月14日、州議会選挙が行われた。

バーデン・ビュルテンベルク州では、前回2016年選挙で第1党だった環境政党の緑の党が、前回より2.3ポイント増の得票率32.6%で第1党を維持した(速報値、以下同じ)。一方、連邦議会第1党の中道右派キリスト教民主同盟(CDU)は2.9ポイント減の24.1%となり、過去最低の得票率になった。他の政党は、中道左派で連邦議会では連立政権の一角を占める社会民主党(SPD)が11.0%(1.7ポイント減)、中道右派の自由民主党(FDP)が10.5%(2.2ポイント増)、極右政党のドイツのための選択肢(AfD)が9.7%(5.4ポイント減)の得票率となった。

バーデン・ビュルテンベルク州では、2011年から緑の党がドイツ国内16州で唯一、州首相を務める。緑の党は2011年からSPDと連立を組み、2016年からはCDUとの連立政権となっていた。緑の党は今後、CDU、SPD、FDPと連立交渉を行い、(1)緑の党・CDU、(2)緑の党・SPD・FDPのいずれかの連立となる見込みだ。2011年から州首相を務める、緑の党のビンフリート・クレッチマン氏(72歳)が引き続き、州首相を務める見通し。

一方、ラインラント・プファルツ州では、前回2016年選挙で第1党だったSPDが、前回選挙よりも0.5ポイント減の得票率35.7%となったものの、第1党を維持した。連立相手であるFDPは0.7ポイント減の得票率5.5%、緑の党は4.0ポイント増の得票率9.3%となった。その他の政党はCDU27.7%(4.1ポイント減)、AfD8.3%(4.3ポイント減)、自由な有権者(Freie Wähler)5.4%(3.2ポイント増)となった。

前々回選挙(2011年)後はSPD・緑の党の連立政権、前回選挙(2016年)後はSPD・FDP・緑の党の3党連立になっていた。報道によると、現状の3党連立が継続される見込みで、2013年から州首相を務めるマル・ドライヤー氏(60歳)が州首相を続投する予定。

2021年はドイツで「スーパー選挙年」と呼ばれ、今回の2州を含め、計6州で州議会選挙が開催されるほか、9月26日には連邦議会選挙が行われる(2021年1月22日記事参照)。今回の2州の選挙では、CDUが得票を減らして過去最低となった。同選挙直前に明らかになった連邦議会議員の汚職問題の影響などが背景にあると指摘されている。アンゲラ・メルケル首相の後任として、連邦議会選挙に向けたCDU・キリスト教社会同盟(CSU)の筆頭候補が誰になるのかを含め、今後のCDU・CSUの動きに引き続き注目が集まる。

(木場亮、高塚一)

(ドイツ)

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