2020年行政手続き評価指数、改善と悪化の項目が半々

(ベトナム)

ハノイ発

2021年03月24日

ベトナム首相府の行政手続き改革諮問評議会は3月17日、2020年の行政手続きコスト評価指数(APCI:Administrative Procedure Compliance Cost Index)に関する年次報告書を公表した。

報告書では、土地、経営条件、投資、国境貿易、起業、専門検査、環境、税務、建設の9分野の行政手続きコスト評価を実施した。そのうち、経営条件、専門検査、環境、税務の4分野は前年と比べて指数が改善した。特に、税務は事前検査から事後検査への変更や電子化により、時間と費用の両面で改善が見られた。一方、残りの5分野は前年よりも指数が悪化した。特に、国境貿易や建設は、新型コロナウイルス感染拡大の影響などを受け、手続きに要する時間が増長したとみられる。また、行政手続きの改善に向けた有効な手段として、早急な電子化、非公式費用も含めた調査、事後検査の拡充などを提示した。

APCIに関する年次報告書は、米国国際開発庁(USAID)支援の下、行政手続き改革諮問評議会が2018年から作成を開始。各種行政手続きにかかる実際の時間や費用を明らかにし、政府の行政手続きの簡素化とビジネス環境改善を進めるための参考指標として活用される。2020年の報告書は、全国63省・市で2019年後半に各種行政手続きを行った2,924社を対象に、アンケートや電話で調査した結果に基づく。

ジェトロが2020年に実施した調査(注)では、ベトナムの投資環境上のリスクとして、46.7%の日系企業が行政手続きの煩雑さを挙げている。新型コロナウイルスの影響による各種申請の滞りなどを受け、前年調査時の32.9%よりも、リスクとして挙げる企業の割合が増加した。

APCIの結果を受け、マイ・ティエン・ズン官房長官は、行政改革を長期的に継続していく必要性を訴えるとともに、国際機関や外国政府からの協力を歓迎する方針を示した。ズン官房長官は2020年12月に日本企業との対話会を開催し、行政手続きの問題解決に向けて協力する姿勢を示していた(2021年1月4日記事参照)

今回の報告会の最後には、行政手続き改革に貢献した機関の表彰式が行われ、ベトナム日本商工会議所(JCCI)も表彰された。

写真 報告会の様子(ジェトロ撮影)

報告会の様子(ジェトロ撮影)

(注)調査期間は2020年8月から9月。詳細は「2020年度海外進出日系企業実態調査(アジア・オセアニア編)」の結果を参照。

(庄浩充、グエン・ラン)

(ベトナム)

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