携帯大手MTS、モスクワで一般利用者向け5G実験開始

(ロシア)

モスクワ発

2021年03月15日

ロシアの携帯通信大手MTSは3月5日、モスクワ市内で一般利用者を対象とした第5世代移動通信システム(5G)の実証実験を開始した。5Gインフラを構築する上での技術的課題の解決および5G通信網関連サービスの質に与えうる影響の評価が狙い。

実験ゾーン内では最大速度毎秒1.5ギガバイトで、データ送受信時の遅延が最小限となる通信を体験できる。実験の対象者はMTS契約者のうち、周波数の条件を満たすスマートフォンを持ち、同社から招待を受けた人に限られる。実験が行われる場所はモスクワ市内の14カ所で、中心部にあるルビャンスカヤ広場や、ザリャジエ公園、ゴーリキー公園、高層ビルが立ち並ぶビジネス街「モスクワ・シティ」前のプレスネンスカヤ川岸通り、その対岸のタラス・シェフチェンコ川岸通りとクツゾフスキー大通り、モスクワ国立大学前の大学広場などが挙がっている。タス通信(3月5日)によると、実験ゾーンに設置されている通信設備は中国の華為技術(ファーウェイ)製だ。

実験に参加できる対象者は、4.4~5.0ギガヘルツ(GHz)の周波数帯「n79」に対応するスマートフォンを持ち、MTSから5G実験に参加するための招待ショートメッセージ(SMS)を受領したMTS契約ユーザー。実験ゾーンに近づくとMTSから招待SMSが届き、5G通信網にアクセスできる。利用者は高速通信環境下で、大容量ファイルのダウンロードや、超高精細映像の視聴、AR/VR(拡張現実/仮想現実)サービス、クラウド・ゲーム(注)、高速Wi-Fiを無制限で体験できる。ロシアでは、ファーウェイや同社から独立したオナーなどがn79対応のスマートフォンを販売している。

これまで、ロステレコム傘下の携帯通信会社テレ2が同様の実験を2019年にモスクワ市中心部のトベルスカヤ通り一帯で行っている。市内の複数の場所で一般利用者向けに実験を行うのは今回のMTSが初となる。

(注)コンピュータゲームをストリーミング配信するサービス

(浅元薫哉)

(ロシア)

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