モーリシャスと中国、FTAに関するワークショップ開催

(モーリシャス、中国、インド、南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2021年03月19日

モーリシャスと中国の両政府は3月1、2日、「モーリシャス・中国自由貿易協定(FTA)に関する国家ワークショップ」をモーリシャス国内で開催した。2021年1月1日に中国にとってアフリカとは初の2国間FTAが締結されたこと(2021年1月8日記事参照)を受け、両国政府がFTAの重要性を確認し合う機会として開催した。

FTAにより、モーリシャスから中国への輸出に当たって品目(TL)ベースで約96%、8,000品目以上の関税が無税となる。基調講演で、モーリシャスのスーミダス・ボラ産業開発・中小企業・協力相は、このFTAはモーリシャスの特産品である縫製品の中国向け輸出を大きく拡大させるものだと国内産業振興への期待を示した。また、スン・ゴンジ駐モーリシャス中国大使は、FTAは両国間の通商協力を強固にするのみならず、中国のアフリカ協力における重要なプラットフォームになるだろうと述べた。

2日目にモーリシャス経済開発総局(EDB)が主催したワークショップで、EDB側は、中国からモーリシャスの輸入額は2019年に332億3,800万モーリシャス・ルピー(約897億4,260万円、1モーリシャス・ルピー=約2.7円)を記録した一方、中国への輸出額は11億3,700万ルピーと大幅な輸入超過が続いていることや、輸入の多くは電気製品だと説明した。その上で、これまで国内生産が行われていなかったLEDパネルなどの製品をモーリシャス国内で生産し、FTAを活用して主に中国に輸出するといった新しいビジネスモデルや、外国企業による新たな投資先としての可能性を紹介した。

モーリシャス・中国FTA締結と同日に運用が開始されたアフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA、2021年1月7日記事参照)の動きをにらみ、人口130万の小さい島国でありながらアフリカ域内では金融基盤や投資制度が整っているモーリシャスとの経済連携強化に力を入れるのは中国だけではない。モーリシャスとインドは2月22日、包括的経済協力・パートナーシップ協定(CECPA)に署名した。この協定によりモーリシャスはインド向けの輸出では615品目で優遇が受けられる(うち376品目は無税)と報じられている。

(高橋史)

(モーリシャス、中国、インド、南アフリカ共和国)

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