中国・モーリシャスFTAが発効、中国はアフリカ初の2国間FTA

(モーリシャス、中国)

ヨハネスブルク発

2021年01月08日

中国政府とモーリシャス政府は1月1日、中国・モーリシャス自由貿易協定(FTA)の発効PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した。同FTAは2019年10月に署名されていた。中国にとって、アフリカとは初めての2国間FTA締結となった。

中国商務部の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、モーリシャスから中国への輸出に当たって品目(TL)ベースで96.3%の物品に対する関税が無税となり、モーリシャスの代表的産品であるラム酒や冷凍魚、乾燥麺類など約8,500物品が対象になる。これらのうち88%の物品が発効即日に無税となるほか、残りについても今後5~7年以内に無税になる見込みだ。無税の対象とならないモーリシャスの物品には、中国の実行最恵国(MFN)の基準税率が適用される。また、モーリシャス産の砂糖の中国向け輸出について、初年度は1万5,000トンの輸入割当を認め、今後8年間で年5万トンまで拡大することも決定した。他方で、中国の物品のモーリシャスへの輸出は、鉄鋼製品や縫製品などTLベースで94.2%が最終的に無税となる。これにより、双方の輸入額の92.8%相当が自由化の対象になるとしている。

また、原産地地域内で40%以上の付加価値が付与された物品が原産地規則の条件となり、FOB価格でモーリシャス非原産の材料が10%以上含まれる場合は、FTAの適用対象にならない。物品のほかにも、金融サービス、通信、建設など100以上の業種への参入制限が撤廃される、と報じられている(「ル・モーリシャン」2021年1月2日)。

両国は歴史的に友好関係にあり、2018年7月には中国政府が推進する「一帯一路」構想の下、習近平国家主席がモーリシャスを公式訪問(2018年8月2日記事参照)し、2国間租税協定などを締結したと報じられた。

一方で、英国王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)のアレックス・バインズ・アフリカプログラム長は「FTAは中国側に大きなメリットがあるが、モーリシャス側にメリットがあるのか注視する必要がある」と懐疑的な見方を示している(「TRT World」2021年1月4日)。

なお、同じくモーリシャスと歴史的・経済的関係が深いインドとの間のFTA交渉も最終局面を迎えている、との報道もある(「The Economic Times」2020年1月1日)。

(高橋史)

(モーリシャス、中国)

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