ブラジル中銀、約6年ぶりに政策金利を引き上げ

(ブラジル)

サンパウロ発

2021年03月19日

ブラジル中央銀行の金融政策委員会(Copom)は3月17日、全会一致で政策金利(Selic)を、これまでの2.00%から0.75ポイント引き上げ、2.75%とすることを決定した。政策金利の引き上げは2015年7月に13.75%から14.25%に引き上げを行って以来、約6年ぶりとなる。

今回の引き上げについて同委員会は、中銀の公式ウェブサイトを通じ、「史上最低レベルの政策金利による特別な景気刺激策が必要なくなっている一方、2021年のインフレ見込みが、インフレ目標中央値(3.75%)を上回っている」として、インフレリスクへの対処であることを説明した(2021年3月10日記事参照)。また、長引く新型コロナウイルスの影響で、「景気回復が遅れ低インフレで終わるシナリオ」と、「構造改革の進展にも影響を及ぼす財政支出の拡大で想定を超えてインフレが上昇するシナリオ」の両方を示し、現時点ではそのどちらに転じるのか判断がつかない中で、「不確実性が増している状況」と説明した。

他方、3月17日付の現地紙「アジェンシア・ブラジル」によれば、全国工業連盟(CNI)のホブソン・アンドラーデ会長は、消費の低迷、産業界の負債拡大といった現状を踏まえ、「新型コロナウイルス感染拡大による措置が長引くことで需要に及ぼす影響を加味し、引き上げは少し待つべきだった」とし、今回の判断は「時期尚早」との立場を明らかにした。

次回のCopomは約45日後の5月4、5日に予定されている。ブラジル中銀は、現状のリスクバランスが続く限りにおいては「今回同様の調整が行われるだろう」とも述べている。

(原宏)

(ブラジル)

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