ジェトロ、東北3省の高度人材テーマにウェブセミナー開催

(中国)

大連発

2021年03月23日

ジェトロは3月12日、「東北3省における高度人材の育成・就職状況と課題」と題してウェブセミナーを開催した。中国での高度人材の育成や就職状況に詳しく、外国人求職者の日本向けの就職支援も行う卓聯教育科技(大連)の琴安国総経理が講師を務めた。

今回のセミナーでは、中国の大卒者を高度人材と定義し、(1)東北3省での高度人材(理工系・日本語人材)の育成状況、(2)東北3省の就職状況(国内の他地域や日本との比較)、(3)新卒者の入社後にみられる共通の課題と解決策、(4)優秀な人材を獲得する上でのポイントを講師が解説した。

東北3省には258校の大学があり、年間60万人を超える卒業生のうち、理工系学部生10万人以上、日本語学部生5,000人以上を輩出している。とりわけ大連市には、日本語人材が集積しており、2019年の人口100万人当たりの日本語能力試験(JLPT)の最上級レベルであるN1受験者数でみると、大連市が中国国内で最多となる。

新型コロナウイルス禍での東北3省の高度人材の就職動向をみると、日本を含めた国外への留学や就職が減少し、中国国内での就職や進学を選ぶ学生が増加している。また、新型コロナ禍で企業の採用が減っているため、未就職の新卒者が増え、就職難が深刻化している。ただし、東北3省の日系企業は経営基盤が比較的安定しており、人員削減や業務縮小の状況はあまりみられない。

琴総経理は、日系企業が必要とする人材を獲得するポイントは、日系企業の強みを若い世代の特徴に合わせてPRすること、人材に求めるスキルを明確化すること(例として、入社前に必要なスキル、入社1年後に期待される姿など)、若い世代の特徴に合わせた研修体制を整備することなどにあると強調した。

参加者からは「学生と企業側のミスマッチを防ぐための具体的な解決案が提示され、分かりやすかった」などのコメントがあった。また、人材流出防止の対策などに関するセミナーの開催要望もあり、参加者の関心の高さがうかがえた。

(呉暁東)

(中国)

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