2021年の実質GDP成長率予測を4.64%に上方修正

(台湾)

中国北アジア課

2021年03月10日

台湾行政院主計総処(以下、主計総処)は2月20日、2020年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率を前年同期比5.09%と発表した。2020年通年では3.11%と3年ぶりに3%台の成長を達成した(添付資料図1、図2参照)。

第4四半期の実質GDP成長率を需要項目別寄与度でみると、内需はマイナス0.11ポイントと、前期の0.28ポイントからマイナスに転じた(添付資料表参照)。民間消費の寄与度はマイナス0.55ポイントと、引き続きマイナスとなったが、マイナス幅は縮小した。主計総処によると、MRT(地下鉄)や台鉄(在来線)、台湾高鉄(新幹線)の利用客は続落した一方、各国の入境規制で海外旅行ができないことなどによる域内消費の増加、百貨店の記念セールなどの販促による消費拡大の影響を受けて、小売業と飲食レストラン業の売上額は2.42%、1.15%とプラス成長を維持した。

外需の寄与度は5.20ポイントと、前期の3.99ポイントから増加した。このうち、輸出は3.63ポイント、輸入はマイナス1.57ポイントとなった。新興技術商品などの需要拡大や、リモートサービスの持続的な商機拡大に加え、ゴム、プラスチック製品、金属製品などの「従来型産業製品」の需要回復が外需全体を押し上げた。

主計総処は2021年通年の成長率について、11月発表時から0.81ポイント上方修正し、4.64%と予測した。民間消費は、新型コロナウイルス対策の防疫措置の厳格化が消費成長に影響を与えるものの、台湾域内の労働市場の安定、株価の上昇などが寄与し、通年を3.74%と予測した。

民間投資は、域内半導体メーカーの継続的な設備投資、通信事業者による第5世代移動通信システム(5G)インフラの構築、洋上風力発電や太陽光発電などグリーンエネルギー設備の建設が引き続き継続的に行われることから、通年の成長率を3.91%と予測した。

対外貿易は、域内半導体メーカーの継続的な設備投資、グローバルサプライチェーンの再構築による台湾企業の回帰投資による生産能力の拡充、新型コロナ感染拡大に伴う企業のデジタル化とリモートサービスの商機が需要増に資することが追い風となり、輸出拡大の継続が見込まれるとした。

(北野真瑞)

(台湾)

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