2020年の製造業外国投資認可額は3.9%増の約566億リンギ

(マレーシア)

クアラルンプール発

2021年03月12日

マレーシア投資開発庁(MIDA)は3月2日、2020年通年の製造業外国投資認可額を、前年比3.9%増の565億7,993万リンギ(約1兆4,710億円、1リンギ=約26円)と発表した。うち、新規投資案件は368億リンギで全体の約65%を占めた。

基礎金属の投資が押し上げ

業種別にみると、基礎金属製品が前年比32.6倍の140億5,370万リンギと、全体の24.8%を占めた(添付資料表1参照)。同業種の投資案件は全13案件のうち、8件が新規案件だった。MIDAによると、基礎金属製品における投資認可案件はほとんどが建設業向けだが、今後の政府の戦略としては、医療機器や航空機などの高付加価値産業向け製品の誘致に焦点を移行させるという。

また、2位の電気・電子製品と3位の紙・印刷・出版は、それぞれ37.8%減、32.4%減と前年を下回った。

国・地域別では、中国が前年比16.0%増の177億5,240万リンギ(71件)と、5年間連続で首位だった(添付資料表2参照)。具体的な案件は公表されていないが、1件の投資金額が約140億リンギ相当の基礎金属分野の大型投資案件があり、これが同国の投資の約8割を占めた。そのほか、中国からの大型案件では、エルエスケムによるジョホール州での油脂化学製品の製造拠点設立があった。次いで、シンガポールが57.3%増の88億3,260万リンギ(120件)だった。前年の6倍超と急増した3位のオランダからの大型案件は、ダッチレディミルクの約4億リンギ相当の拡張案件、ネクスペリアR&Dの集積回路設計サービスの拡張案件があった。

日米による投資認可額が前年比減

上位10カ国をみると、前年割れとなったのは米国と日本だった。米国は36億6,410億リンギ(28件)と74.2%減、日本は56.5%減の16億5,060万リンギ(59件)だった。米国は、2019年に米中貿易摩擦の影響を背景とした半導体関連企業の新規・追加投資などが多かったため、その反動減とみられる。

日本の認可額を業種別にみると、全体の3割弱を占める電気・電子製品への投資が最も多いが、前年比61.4%減と振るわなかった(添付資料表3参照)。新型コロナウイルスの影響に対して、慎重な投資姿勢を取ったとみられる。また、日本の製造業投資は近年、追加投資が多く、新規投資に比べて比較的投資額が少ないことも背景にあるとみられる。主な投資案件では、医療品用ガラス容器を製造する日本電気硝子による拡張案件があった。

アズミン・アリ国際貿易産業相は本発表を受け、「マレーシアを選択した外国投資は、確立された地元支援産業ネットワークや人材を活用してハイテク製品を製造することで間違いなく価値を引き出せる」と強調した(「ザ・エッジ」紙3月2日)。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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