メキシコ、米国からアストラゼネカ製ワクチン270万回分を調達

(メキシコ、米国)

メキシコ発

2021年03月22日

メキシコのマルセロ・エブラル外相は3月19日、ツイッターでビデオメッセージを配信し、米国が保有する英国アストラゼネカ製の新型コロナウイルス用ワクチンのうち、270万回分の供給を受けることで米国政府と合意したと発表した。今回の合意は、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領とジョー・バイデン米大統領とのオンライン首脳会談(2021年3月4日記事参照)後、継続的に米国政府に働きかけを行った成果だとし、同ワクチンは翌週にメキシコに到着し、87万人の高齢者に対する2回目の接種に用いられる。アストラゼネカ製ワクチンは米国では未承認で、同国が備蓄するワクチンにEUからも関心が示されていたが、18日にジェン・サキ米大統領報道官がカナダとメキシコに供給する方針を明らかにし、エブラル外相も自身のツイッターで「良い知らせ」と発表していた。

エブラル外相はこの決定を「画期的なもの」と位置付け、「これまでどの国にもワクチンを供給してこなかった米国がカナダとメキシコへの供給を決めたことは、北米3カ国が共通の課題をともに解決する枠組みが復活したことを意味する」と述べた。また、アストラゼネカ製のワクチンは世界的に供給が遅れているが、同社との契約で確保しているワクチンのうち7,740万回分は国内でパッキング工程が行われており、1カ月または1カ月強で供給の準備が整うとの見方も示した。エブラル外相はこれまで、3月最終週には国内でパッキング工程を行う同社ワクチンの供給を開始できるとしてきたが、ここにきて計画に遅れが出ていることが明らかになった。既に同社ワクチンを1回接種した高齢者に対して、近いうちに2回目の接種を行う必要があるため、国内出荷分の遅れを解消するためにも米国からの調達が必要だったとみられる。なお、外務省のロベルト・ベラスコ北米担当局長が大手テレビ局のインタビューに答えた内容によると、米国がアストラゼネカのワクチンの使用承認を終えた後に、メキシコでパッキングする同社ワクチンを270万回分、米国に返却する合意になっているという。

7月末までに8,000万人の接種目指す

連邦政府は7月末までに8,000万人への接種を目指すとし、3月18日時点で、医療関係者や60歳以上の高齢者、カンペチェ州の教育関係者を対象に、494万7,552回分のワクチンを接種済みだ。進捗状況の目安とするため接種回数と接種人数が同等と仮定すれば、進捗率は6.2%となる。また、保健省は4月末までに1,446万754人の高齢者への接種を完了させたい考えだが、18日時点で接種を受けたのは344万7,555人、そのうち2回目の接種を終えているのは3万6,851人にとどまる。

(松本杏奈)

(メキシコ、米国)

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