上海市高級人民法院や上海知的財産法院によるセミナーを開催
(中国)
上海発
2021年03月03日
ジェトロは2月26日、上海市高級人民法院、上海知的財産法院から講師を招き、「知的財産権セミナー」(以下、セミナー)を開催した。同セミナーは、オフラインとオンラインを組み合せたもので、国内外から合わせて233人が参加した。
セミナーでは、上海市高級人民法院高級裁判官の陶冶氏が「知的財産権訴訟の証拠に関する制度」をテーマに講演を行った。陶高級裁判官は「証拠が知的財産権の侵害訴訟において非常に重要」とし、証拠が不十分であると技術的事実の究明が難しく、審理期間も長くなることから「権利者が実際の損害賠償額を取得することは困難」と述べた。さらに具体的な規定と裁判事例を紹介し、証拠提出、証拠保全、司法鑑定、証拠検証および認定制度などを解説した。
上海知的財産法院裁判官の陳瑶瑶氏は「知的財産権の技術的事実究明体制の構築」をテーマに講演した。陳裁判官は、技術調査官が業界の一般的な技術者であるのに対し、「技術諮問専門家、専門家陪審員、専門家補助人は権威ある専門家」と説明、それぞれの役割が異なることや、裁判所が技術調査官を優先的に活用することなどを紹介した。
参加者からは、現役裁判官から直接実務に基づく説明を聞くことができた点や、中国の最新の法規定の内容と運用をタイムリーに知ることができた点などについて、実際の業務に活用できるとのコメントを得た。
セミナー会場の様子(ジェトロ撮影)
(天野沙羅、王志燕)
(中国)
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