2020年の貿易、新型コロナの影響で輸出入ともに落ち込む

(英国)

ロンドン発

2021年02月24日

英国歳入関税庁(HMRC)が2月12日に発表した貿易統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2020年の英国の輸出額は前年比14.6%減の3,140億ポンド(約46兆4,720億円、1ポンド=約148円)、輸入額は前年比9.6%減の4,933億ポンドだった。貿易収支は1,793億ポンド超の赤字で、赤字幅は前年比14億ポンド拡大。通年で実施した新型コロナウイルス感染防止策が影響し、輸出入ともに多くの品目で主要国との取引が大幅に減少した。

品目別にみると、輸出では主力の機械類(前年比17.5%減)、自動車を含む鉄道以外の輸送用機器(28.1%減)をはじめ、鉱物性燃料・油(34.1%減)、航空機部品の需要が大幅に落ち込んだ航空機・航空部品(27.2%減)などで減少(添付資料表1参照)。一方で、プラチナ・銀が好調だった貴石・貴金属は3.0%増となった。

輸入では、非貨幣用金の需要高まりを受けた貴石・貴金属が20.9%増の843億ポンドと前年に引き続き著増した。一方で、機械類(17.2%減)、自動車を含む鉄道以外の輸送用機器(23.0%減)は大幅に減少、鉱物性燃料・油(40.1%減)やロックダウン措置による消費減退の影響を受けた衣類(メリヤス、クロセ編み以外)(1.3%減)、衣類(メリヤス、クロセ編み)(15.5%減)も落ち込んだ。

国・地域別にみると、輸出では米国が447億ポンド(22.1%減)と全体の14.2%を占め、引き続き最大の輸出先となったものの、自動車を含む鉄道以外の輸送用機器(37.3%減)、美術品・骨董品(47.7%減)などの不振により、金額ベースでは前年比127億ポンド減と大幅に縮小した(添付資料表2参照)。アイルランドは213億ポンド(2.7%減)で前年の6番から3番手へ順位を上げた。スイスは金・プラチナの輸出著増が牽引し、前年比31億ポンド増の152億ポンド(25.6%増)となった。フランスは航空機・航空部品などが落ち込み184億ポンド(25.3%減)、中国は貴石・貴金属、鉱物性燃料・油などの減少で145億ポンド(38.7%減)となった。

輸入では、564億ポンド(15.7%減)のドイツが引き続き最大となったが、自動車を含む鉄道以外の輸送用機器(24.6%減)の落ち込みが響き、金額ベースでは前年から105億ポンド減少した。中国は534億ポンド(15.2%増)に伸び、ロシアと香港はそれぞれ190億ポンド(70.6%増)、164億ポンド(97.0%増)と著増、いずれも貴石・貴金属の増加が牽引した。

2020年の対日貿易 は、輸出が57億ポンド(13.2%減)、輸入が82億ポンド(20.9%減)と、いずれも前年を下回った。輸出入ともに上位3品目は貴石・貴金属(輸出3.3倍増、輸入7.1%減)、機械類(38.2%減、35.1%減)、自動車を含む鉄道以外の輸送用機(26.7%減、8.3%減)で、主要品目での不振が目立つなか、プラチナを中心に貴石・貴金属の対日輸出額は2019年の3倍超に上昇した。

(注)英国歳入関税庁(HMRC)が発表する品目別データはHSコードを使用。

(杉田舞希)

(英国)

ビジネス短信 d9ee57a2ef15b5b4