VW、ドイツ北部で車両用電池リサイクル施設のパイロット運用を開始

(ドイツ)

ベルリン発

2021年02月08日

フォルクスワーゲン(VW)は1月29日、ドイツ北部ニーダーザクセン州ザルツギッターで、同社初の電気自動車(EV)搭載の車両用電池のリサイクル施設を開設、パイロット運用を開始した。

同施設では、車両用電池に含まれるリチウム、ニッケル、マンガン、コバルトなどのレアメタルやアルミニウム、銅、プラスチックをリサイクルする。貴重な資源などを自社内で再利用する循環型のクローズドループ方式によるリサイクルにより、将来的には90%以上のリサイクル率を目指す。例えば、再利用の原材料とグリーンエネルギーのみで電極を生産した場合、62キロワット時の電池当たり1.3トン以上の二酸化炭素(CO2)が削減される。これまでの採掘、加工、製造された後に廃棄されるサプライチェーンから脱することで、気候保護に大きく貢献できる。また、電池や電子材料の需要増をにらみ、原材料を確保する狙いもある。

今回のパイロット運用では年間最大3,600セット、約1,500トンに相当する電池システムのリサイクルを行う。その後、プロセスを最適化し、リサイクル規模を拡張していく予定。

VW部品部門は約12年前に、自動車産業で再利用できる金属(リチウム、コバルト、鉄鋼、アルミニウムなど)について調査を開始した。2009年から2011年にかけて、VWが同様の研究を行っていたブラウンシュバイク工科大学と他の10の企業とともに開発したリチウムイオン電池のリサイクル方式は、今回開設したザルツギッターのリサイクル施設において実用化されている。

(ヴェンケ・リンダート、中村容子)

(ドイツ)

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