オープンイノベーション塾、第2回は海外協業の知財戦略を情報発信

(世界)

イノベーション促進課、知的財産課

2021年02月24日

ジェトロは、海外のスタートアップエコシステムの情報や、グローバルな協業をする際の知財面と契約面の留意点などの情報を提供するセミナーシリーズ「オープンイノベーション塾」を開催している。

2月17日に開催した第2回では、経営戦略アドバイザリーファームのシクロ・ハイジアの代表取締役CEO(最高経営責任者)小林誠氏を講師に迎え、海外との協業・連携における知財戦略の基本について情報提供した。

前半の講演で小林氏は、海外企業との協業に向けた契約交渉に当たり、相手を対等な関係として認識するなど自社の交渉姿勢に留意することや、事業化に向けた役割分担を意識して交渉することなどを重要な点として挙げた。また、契約締結に当たっては、例えば、共同開発した技術の使用を制限する条項が秘密保持契約(NDA)に含まれていないかなど、契約の細かい条項にも十分な注意を払うことの必要性を説明した。さらに、日本ではまれだが、海外とのライセンス契約で入ることの多いロイヤリティー監査に関する条項や、紛争解決手段として裁判外紛争解決手続き(ADR)に関する条項の検討が必要な点など、海外企業との契約に特徴的な留意点も多面的に説明した。

後半のオープンディスカッションでは、視聴者の質問やアンケートも踏まえ、講師との議論が行われた。バックグラウンドIP(注)の取り扱いなど、交渉時の知財面の調整で時間を要するという課題については、迅速な意思決定のために、知財担当を早い段階で交渉に関与させることや、意思決定の権限をなるべく現場に移譲しておくこと、自社が何をしたいのかを交渉相手にしっかり伝えることが重要だと強調された。また、海外の大学との協業・連携の際には、国内の場合よりも、事業化の日程や得られる利益に関する情報といった具体的な事業計画の説明が求められるなど、よりビジネス目線で交渉に当たる必要性が指摘された。

オープンイノベーション塾は、3月には、シリコンバレーで長らく投資、事業提携に取り組む日米の有識者を講師に迎え、シリコンバレー編外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開催する予定だ。

写真 小林誠氏による講演の様子(ジェトロ撮影)

小林誠氏による講演の様子(ジェトロ撮影)

(注)「バックグラウンドIP」とは、協業・連携する事業の参加者が協業・連携の開始前から保有していた知的財産権や、協業・連携の開始後に当該事業の実施とは関係なく取得した知的財産権をいう。

(後藤泰輔、渡辺浩司)

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