2020年の貿易総額、前年比3.6%減、下半期は回復基調

(マレーシア)

クアラルンプール発

2021年02月18日

マレーシア統計局は2月4日、2020年通年の貿易総額が前年比3.6%減の1兆7,772億リンギ(約46兆2,072億円、1リンギ=約26円)と発表した(添付資料表1参照)。新型コロナウイルスの影響による世界的な需要減少で、輸出が1.4%減の9,810億リンギ、輸入が6.3%減の7,962億リンギと、ともに前年割れとなった。貿易収支は輸入の大幅減が影響し、26.9%増の1,848億リンギで、1998年以降23年連続かつ過去最高の黒字となった。

電気・電子製品の輸出は好調

輸出を品目別にみると、全体の4割弱を占める電気・電子製品が3,861億リンギと前年比3.5%増加した(添付資料表2参照)。同品目の約半分を占める集積回路は10.3%増の1,893億リンギだった。輸出上位品目のうち、精製石油製品は需要減や価格下落の影響で13.1%減少したが、パーム油・同製品と、専門的、科学的制御機器・装置はそれぞれ増加した。また、特にゴム手袋は世界シェアの約6割強をマレーシアが占めており、新型コロナウイルス感染予防のための需要増加を背景に、輸出が好調で前年比倍増した。輸入では、精製石油製品と原油の2桁減が顕著だった(添付資料表2参照)。

輸出を国・地域別にみると、中国と米国向けが特に好調だった(添付資料表3参照)。中国向けは輸出全体シェアの16.2%を占め、12.5%増の1,586億リンギと過去最高額となった。米国向けも12.7%増の1,088億リンギと過去10年間で最高の輸出金額だった。特にゴム製品や電気電子製品が対米輸出を押し上げた。対照的に、日本向けの輸出は、液化天然ガスの落ち込みで6.5%減と振るわなかった。

輸入の上位5カ国・地域のうち、米国と台湾は微増したものの、中国、シンガポール、日本からの輸入は、国内需要の弱さを反映して前年割れとなった。

輸出を四半期ごとにみると、2020年第2四半期(4~6月)には、新型コロナウイルス禍の移動制限令による操業一時停止などが影響し、主要国・地域への輸出が大幅に減少したが、第3四半期(7~9月)に急速な回復がみられた(添付資料図参照)。

RCEPで輸出拡大を期待

アズミン・アリ国際貿易産業相は「2020年の貿易は新型コロナウイルスによる悪影響を受けたものの、2020年11月に署名した世界最大の自由貿易協定である地域的な包括的経済連携(RCEP)協定による外資増加と輸出拡大を期待する」とコメントした(「ニュー・ストレーツ・タイムズ」紙1月30日)。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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