12月の小売売上高、マイナス幅が拡大

(香港)

香港発

2021年02月09日

香港特別行政区(以下、香港)政府統計処は2月2日、2020年12月の小売売上高(速報値)が前年同月比13.2%減の313億8,000万香港ドル(約4,268億円、1香港ドル=約13.6円)だったと発表した。2019年2月から23カ月連続で前年同月比マイナスとなり、マイナス幅は前月から9.1ポイント拡大した(添付資料図参照)。また、2020年通年の小売売上高は前年比24.3%減の3,265億香港ドルと、2年連続でマイナスとなり、マイナス幅も2019年の11.1%減から13.2ポイント拡大し、過去最大の減少幅となった。

業態と品目別にみると、最も落ち込んだ主な品目は「薬および化粧品」で、40.9%減の18億1,000万香港ドル。その他で減少幅が大きかったのは、「宝飾、時計および高級贈答品」が40.8%減の30億9,000万香港ドル、「衣類、靴および関連製品」が29.2%減の34億5,000万香港ドルとなった(添付資料表参照)。

香港政府報道官は「新型コロナウイルス感染拡大第4波の(注)到来とそれに伴うビジネス規制により、12月の小売りの落ち込みが拡大した。香港のインバウンド観光業が停止した状態であり、小売業の足元のビジネス環境は引き続き厳しい状態が続くだろう」とコメントしている。

香港小売管理協会の謝邱安儀主席は「多くの小売業者は2020年第4四半期(10~12月)と2021年第1四半期(1~3月)に、政府からの支援が賃貸料の割引のみであることに不満を述べている。小売業の2021年の最初の数カ月について楽観的な見方はほとんどない。多くの不確定要素があり、状況がどれほど悪くなり得るかを予測することは難しい」と述べている(「サウスチャイナ・モーニングポスト」紙2月3日)。

(注)香港では一般的に、2020年1月の新型コロナウイルス感染拡大開始を「第1波」、3月中旬以降の輸入症例拡大を「第2波」、7月中旬以降の域内感染拡大を「第3波」と呼んでいる。現在は「第4波」が到来しているとされる。

(野原哲也)

(香港)

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