タイのプラウィット副首相、ミャンマーの国軍による権力掌握は内政問題とコメント
(タイ、ミャンマー)
バンコク発
2021年02月02日
タイのプラウィット・ウォンスワン副首相は2月1日、同日にミャンマーにおいて国軍が権力を掌握したことに関して、「内政問題だ」とコメントするにとどめた(2021年2月1日記事参照)。「バンコク・ポスト」紙や「ネーション」紙など、国内主要紙が伝えた。
ミャンマーでアウンサンスーチー氏が国軍に拘束されたことを受け、タイの民主化グループが、2月1日の午後3時30分ごろからバンコク都内にあるミャンマー大使館前で集会を開いたことに関して、同副首相は「集会がミャンマーとの2国間関係に影響を与えるとは考えていない。国軍による権力掌握はミャンマーの内政問題で、タイと関係がない」と述べたという(「バンコク・ポスト」紙2月1日)。
国境貿易と外国投資に影響する可能性
ミャンマーとの主な国境であるチェンライ県メーサイ(ミャンマー側はタチレク)とターク県メーソット(ミャンマー側はミャワディ)では、国軍による権力掌握発生後に一時的に貨物の往来が停止されていたが、1日午後には再開されたという(「ネーション」紙2月1日)。
タイ商工会議所大学国際貿易センターのアート・ピサンワニッチ所長によると、ミャンマーの軍事政権による国境での厳格な保安検査が続いた場合、「月間15億~20億バーツ(約53億~70億円、1バーツ=約3.5円)の損失が見込まれる」とする。また、同所長によると、外国投資家は2~3カ月間で影響を評価するようだが、「ミャンマーにまだ高い政治不確実性が存在することが明確となった。これは、投資判断する上で重要な要素になるだろう」と述べた(「バンコク・ポスト」紙2月2日)。
タイ商工会議所のカリン会頭は「国軍による権力掌握は輸出に大きく影響せず、国境が閉鎖される可能性は低い」と述べた。タイ工業連盟(FTI)のスパン会長も「まだ楽観的な見方をしており、軍が外国投資への影響を避けるため、慎重に行動することを期待する」とコメントした。
なお、アーコム財務相は、ミャンマー、タイ、日本の共同事業であるダウェー経済特区への影響について「(評価するには)時期尚早だ」と述べている。
(北見創、シリンポーン・パックピンペット)
(タイ、ミャンマー)
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