ニジェールで大統領選の決選投票、バズム元内相が当選

(ニジェール、コートジボワール)

アビジャン発

2021年02月26日

西アフリカのニジェールで大統領選挙の決選投票が2月21日に実施された。2期目の任期が満了となる現職のマハマドゥ・イスフ大統領の後継者として、与党・ニジェール民主社会主義党(PNDS)から立候補した元内相のモハメッド・バズム候補が、新生民主共和国主義党(RDR-Tchanji)のマハマン・ウスマン候補を破って当選した。1960年の独立以来、クーデターが続いていたニジェールで初の民主的な政権交代が実現する。

2月23日に独立選挙管理委員会が発表した公式暫定集計結果によると、得票率はバズム候補が55.75%、ウスマン候補が44.25%となった。投票率は62.9%だった。ウスマン陣営は、選挙に不正があったとして開票結果の受け入れを拒否しており、憲法院への異議申し立ての権利とともに、あらゆる法的手段を検討するとしている。RDR-Tchanji支持者は24日、首都ニアメを中心に抗議デモを展開したが、治安部隊に鎮圧された。憲法院は近く、決選投票の最終結果を認定する。

大統領選挙は2020年12月27日に第1回投票が行われ、30人が立候補した(2021年1月7日記事参照)。1位のバズム候補の得票率が39.3%と過半数に満たなかったことから、得票率17.0%で2位のウスマン候補との決選投票に持ち込まれた。決選投票を前にバズム候補は、第1回投票で3位のセイニ・ウマル候補と4位のアルバデ・アブバ候補の陣営を取り込んで優位に立ったが、残りの対立候補の多くがウスマン候補支持に回ったことから、接戦が予想されていた。

バズム候補は優先課題として、テロ対策とガバナンス、貧困脱却、失業対策、教育制度改革、若者育成を公約に掲げ、また、10年にわたるイスフ政権の政策を踏襲する方針を示している。

近年、マリやブルキナファソとの国境でイスラム過激派による武装襲撃が活発化していることから、投票は厳戒態勢を敷く中で実施されたが、当日、西部ゴテエ地方と東南部ディファ地方でテロ事件が発生し、独立選挙管理委員会メンバー8人を含む死傷者が報告された。

(渡辺久美子)

(ニジェール、コートジボワール)

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