ニジェール大統領選は決着つかず、2月に決選投票へ

(ニジェール、コートジボワール)

アビジャン発

2021年01月07日

西アフリカのニジェールで大統領選挙が12月27日に実施された。有権者は710万人、投票率は69.7%だった。1月2日に発表された選挙管理委員会の開票結果によると、最多票を獲得した与党・ニジェール民主社会主義党(PNDS)のモハメッド・バズム候補の得票率が39.3%で過半数に満たなかったことから、得票率17.0%で2位の新生民主共和国主義党(RDR-Tchanji)のマハマン・ウスマン候補との決選投票に持ち込まれた。

30人の候補者のうち最有力とみられていたバズム候補は、2期目の任期が満了となる現職のマハマドゥ・イスフ大統領の政権で外相および内相の要職を務め、イスフ大統領の後継者として与党PNDSから立候補した。対抗馬のウスマン候補は1993年の大統領選で当選したが、任期半ばの1996年にクーデタで失脚した。以降、今度で6回目の立候補となる。2月20日に予定される決選投票では、3位以下の野党候補の多くがウスマン候補への支持を表明しており、接戦が予想される。

今回の選挙は、2期満了となるイスフ大統領が憲法の規定によって立候補しなかったため、民主的な政権移行が期待され、今後の民主化定着のカギを握るとみられている。米国や西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)をはじめとする国際社会は、選挙の第1回投票が自由かつ公正に実施されたと評価している。

一方、同国を含むサヘル地域では、イスラム過激派による武装襲撃が活発化し、テロの危険にさらされており、安全保障問題が喫緊の課題となっている。今回の選挙の直前にも、マリおよびブルキナファソとの国境で2度のテロ襲撃があり、治安悪化が懸念されたことから、投票は厳戒態勢を敷く中で実施された。

(渡辺久美子)

(ニジェール、コートジボワール)

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