2021年の米小売売上高、前年比6.5~8.2%増の見通し

(米国)

ニューヨーク発

2021年02月26日

全米小売業協会(NRF)は2月24日、2021年の米国の小売売上高(自動車ディーラー、ガソリンスタンド、レストランを除く)の見通しを発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、前年比6.5~8.2%増の4兆3,300億~4兆4,000億ドルになると予測した。過去5年間の平均成長率(4.4%)を上回る見通しとなっている。新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、消費意欲が高まるとの期待感を示した。

特に、ネット販売などの無店舗小売りは前年比18~23%増の1兆1,400億~1兆1,900億ドルになると見込んでいる。新型コロナウイルスの影響を受けて、小売業界でのマルチチャネル・サービス(注)の普及が促進され、ネット販売の利便性が優位となり、新型コロナウイルス収束後も消費者の購買行動は引き続きネット販売を選択するとされる。

NRFのチーフエコノミスト、ジャック・クラインヘンズ氏は「景気や個人消費を支えているのは、貯蓄の増加や過去最高値の株価、住宅価格の上昇、政府による支援策の強化、低金利政策が背景にある」と述べた。先行きについては「経済の軌道はワクチンの有効性とその普及にかかっている」と強調した。また「ワクチン接種が効果的であれば、2021年半ばには経済成長が加速する」と予想し、「過去20年以上で最も急速な成長を遂げる」と指摘した。

一方、2020年の小売売上高は前年比6.7%増の4兆600億ドルとなり、NRFが2020年2月時点に新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮せずに見通した予測値(前年比3.5%増)の約2倍の増加率となった。加えて、同年のネット販売などの無店舗小売りは前年比21.9%増の9,694億ドルと、消費者の購買行動がオンラインへ移行する急速な動きがみられた。

なお、新型コロナウイルス状況下、経済を取り巻くさまざまな要因は依然として大きく変化する可能性があるため、NRFはこれらに応じて2021年の推定値を更新する予定だ。

(注)実店舗やECサイト、カタログなど、複数のチャネルを介した販売のことを指す。

(樫葉さくら)

(米国)

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