タイ産業界の業況判断が2カ月連続の低下

(タイ)

バンコク発

2021年02月25日

タイ工業連盟(FTI)は2月18日、2021年1月のタイ業況判断指数(TISI、注)を発表した。同発表によると、1月の業況判断指数(回答企業数:1,441社)は前月比2.3ポイント減の83.5ポイントと、2カ月連続で低下した。タイでは1月初旬から、バンコクなどで新型コロナウイルス感染拡大抑止に向けた新たな規制措置が採られるなど活動が制限される企業もあったため(2021年1月4日記事参照2021年1月5日記事参照)、景況感が悪化したとみられる(添付資料図参照)。

発表によると、業況判断のマイナス要因としては、国内における新型コロナウイルス流行の深刻さと、それに伴う指定地域における各種制限措置、民間企業・公務員への在宅勤務要請、国内購買力の回復遅延などが挙げられている。また、引き続き輸送用コンテナ不足問題と、継続的な通貨バーツ高が指摘されている。

今後3カ月先の業況感を聞いたTISI見通しも、前月比1.6ポイント減の91.1ポイントに下落した。同指標については2020年5月以降、足踏み状態が続いており、新型コロナウイルスによるタイ経済および国内市場の先行き不透明感、それに伴う企業の事業計画の下方修正などが指摘されている。なお、2020年の業績では減収・減益の企業が多数みられるものの、事業効率化や経費節減が奏功して増益となった企業もあった。

なお、FTIはタイ政府に対して、コンテナ不足問題の解消や、国内における新型コロナウイルスワクチンの接種の加速などを提案している。

写真 チャオプラヤー川から見たバンコク港の様子(2月13日、ジェトロ撮影)

チャオプラヤー川から見たバンコク港の様子(2月13日、ジェトロ撮影)

(注)TISI(Thai Industries Sentiment Index)は、FTIが加盟企業(製造業を中心とする45産業)に毎月行っている景況感に関するアンケート調査に基づく指数。当該月の現況と、3カ月先の見通しをそれぞれ聞いており、100を超えると「業況が良い」、100を下回ると「業況が悪い」を示す。

(北見創)

(タイ)

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