2021/2022年度の予算案公表、2021年通年の成長率3.5~5.5%の見通し

(香港)

香港発

2021年02月26日

香港特別行政区(以下、香港)政府は2月24日、2021/2022年度(2021年4月~2022年3月)の財政予算案を発表した。併せて、2021年通年の経済成長率は3.5~5.5%とする見通しを示した。

2021/2022年度予算案には、財政的な制約を考慮して、2020/2021年度に計上した現金支給策や賃金補助策は含まなかったものの、新たな施策となる電子消費券の支給や失業者向けの無担保融資制度の設定ほか、個人や企業の税負担の軽減、非住宅物件の固定資産利用税の免除、中小企業向け信用保証制度の拡充、香港貿易発展局や香港政府観光局への財政支援などの景気対策を盛り込んでいる。また、歳入増を目指し、株式取引の印紙税を現状の0.1%から0.13%に引き上げる。その結果、2021/2022年度予算案の歳出は7,278億香港ドル(約10兆1,892億円、1香港ドル=約14円)、歳入は6,262億香港ドル(環境債発行による351億香港ドルを含む)、財政赤字額は1,016億香港ドルとなる(2020/2021年度の財政赤字額は2,576億香港ドル)。

電子消費券支給の効果に分かれる評価

消費刺激策として導入予定の電子消費券の支給は、香港では初の取り組みとなる。18歳以上の香港永住権を有する市民などを対象に、1人当たり5,000香港ドルを分割して支給予定。効果については、香港政府の張建宗政務長官が「消費が活性化することを期待する」と述べる一方で、ING銀行エコノミストのアイリス・パン氏は「新型コロナウイルス対策の各種規制が続く限り、本施策は個人消費の押し上げに効果的ではない」とコメントしている(「サウスチャイナ・モーニングポスト」紙2月25日)。

(野原哲也)

(香港)

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