国家医薬品監督管理局、シノバック社ワクチンの販売を条件付き承認

(中国)

北京発

2021年02月12日

中国国家医薬品監督管理局は2月6日、科興控股生物技術(シノバック・バイオテック)傘下の北京科興中維生物技術が開発した新型コロナウイルスの不活化ワクチンを条件付きで承認したと発表した。12月に承認した中国医薬集団(シノファーム)の研究所が開発したワクチンに続き、中国で承認した2例目のワクチンとなる(注1)。

コールドチェーン物流や医療従事者などの重点接種対象に優先接種

国務院は12月19日の記者会見で、ワクチン接種を2段階に分けて実施する方針を発表、第1段階の接種対象は、輸入コールドチェーン(冷凍冷蔵)や国境検疫、船舶の水先案内人、航空機の機上勤務、生鮮市場、公共交通、医療疾病予防・管理などに従事する者、中・高リスクの国・地域への訪問歴がある人とした。

北京市衛生健康委員会の高小俊報道官によると、北京市は春節(旧正月)前に重点集団に対する接種を完了させ、春節後は国の方針とワクチンの販売承認や供給の状況に基づき、他の集団にも接種を順次行うこととした(「環球網」2月1日)。

上記計画に従い、北京市では重点接種対象(注2)に対する1回目の接種を1月19日までに完了、累計190万人超に接種した。2回目の接種は22日から開始した。中国疾病予防コントロールセンターの龐星火副主任は2月9日の記者会見で、北京市の重点接種対象に対する接種を基本的に完了したと発表した(「中国新聞網」2月10日)。2月10日時点では、北京市内で上記の重点接種対象以外の人に対し、ワクチン接種希望者の把握のため事前登録作業が進められている。

国家衛生健康委員会の報道官は2月4日の記者会見で、全国の重点接種対象に対するワクチン接種件数は2月3日までに延べ3,123万6,000本に上ったと発表した(「中国青年網」2月4日)。また、国家医療保障局の李滔副局長は1月9日の国務院記者会見で、企業が設定するワクチン販売価格と接種費用は医療保障基金と財政で負担し、国民は無料で接種できるようにすると強調した。中国疾病予防コントロールセンターの許文波所長は中国の新型コロナウイルスワクチンについて、「重篤な副反応の発生率はインフルエンザワクチンより低い」との認識を示している(「環球時報」1月31日)。

(注1)既に承認された2種のワクチンのほか、中国軍事科学院の陳薇院士のチームと康希諾生物(カンシノ・バイオロジクス)が共同開発するワクチンはパキスタンで第3相臨床試験を行っている。パキスタン国家衛生関係当局者は2月8日、同ワクチンの第3相臨床試験の中間分析結果を発表した。これまで承認された中国製のワクチンと異なり、カンシノのワクチンは1人に1回の接種で済むとしている(「環球網」2月8日)。

(注2)接種対象は、コールドチェーン貨物の検疫担当者や港湾作業関係者、交通運輸作業員、海外赴任者と留学生、医療従事者、社区の公的サービス従事者、物流関係者、高齢者施設の従業員らで、対象年齢は18~59歳となっている(「北京日報」1月22日)。

(趙薇)

(中国)

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