2020年の上海GRP成長率は1.7%、1978年以来の低成長

(中国)

上海発

2021年02月03日

上海市統計局の発表(1月24日)によると、同市の2020年の域内総生産(GRP)実質成長率は前年比1.7%となり、2019年を5.3ポイント下回り、全国平均(2.3%)よりも0.6ポイント低かった(添付資料表参照)。これは1978年の改革開放以来の低水準で、新型コロナウイルスによる経済への影響の大きさが浮き彫りになった。また、上海市は1月27日の記者会見の場で、2021年の実質成長率の目標を6.0%以上とすることを発表した。

産業別にみると、製造業を中心とする第二次産業の成長率は前年比1.3%で、2019年の0.5%から若干改善した。牽引役である第三次産業の成長率(1.8%)は前年(8.2%)より大きく鈍化したが、第三次産業のGRPに占める割合は73.1%に高まった。

消費を表す社会消費品小売総額は前年比0.5%増で、2019年(6.5%増)より伸び率が大きく縮まったが、このうち、インターネット販売は10.2%増と2桁成長になった。業種別にみると、卸売・小売業が2020年1~9月の2.5%減から通年の2.6%増とプラスに転じたが、ホテル・飲食業は19.6%減と不振が続いている。

投資の指標である固定資産投資は前年比10.3%増と、2019年(5.1%増)の成長率を上回った。分野別では、不動産開発投資が11.0%増加したほか、製造業投資は20.6%増となり、特に電子情報(64.8%増)、バイオ・医薬(27.3%増)が牽引した。

米中貿易摩擦の影響を受けながらも、輸出入総額は前年比2.3%増で、2019年(0.1%増)を上回る伸びになった。うち、輸入は2019年の0.1%減から3.8%増に改善したが、輸出は横ばいだった。主要輸出先をみると、米国向けは6.6%増、EU向けは2.3%増だったが、日本向けは7.5%減、香港向けは1.4%減となった。

シンガポールと香港からの直接投資は大幅増

対内直接投資(実行ベース)は前年比6.2%増の202億3,300万ドルに達した。国・地域別にみると、投資全体の67.1%を占める香港を筆頭に、シンガポール(全体の10.9%)、欧州(9.4%)、日本(3.6%)、米国(3.0%)の順となった。これら上位5カ国・地域の割合は全体の94.0%に達した。このうち、シンガポール(35.7%増)、香港(14.7%増)は2桁増だったが、米国は0.5%減となった。

(劉元森)

(中国)

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